勝った佐藤康光九段(右)と羽生善治九段。両者の表情からは疲労の色が見て取れた=27日、静岡市葵区、村瀬信也撮影

第78期 順位戦A級 最終一斉対局


13:00

木村王位、兄弟子に似たポーズ

ひざの上に扇子を立て、その上に肘を載せる独特のポーズで対局再開を待つ木村一基王位=2020年2月27日午後0時56分、静岡市葵区の浮月楼、村上耕司撮影
ひざの上に扇子を立て、その上に肘を載せる独特のポーズで対局再開を待つ木村一基王位=2020年2月27日午後0時56分、静岡市葵区の浮月楼、村上耕司撮影

午後1時になり、対局が再開された。

木村一基九段は早めに入室し、相手の広瀬章人八段が戻ってくるまで、目を閉じて待っていた。ひざの上に閉じた扇子を立て、その上にひじを載せる独特のポーズ。兄弟子の米長邦雄・永世棋聖もよくこのポーズを取っていた。局面はまだ中盤の入り口。本格的な戦いが始まるまでまだまだかかりそうだ。

羽生九段、忘れたボストンバッグ

羽生善治九段(右)は対局再開直後に部屋に戻ってきた
羽生善治九段(右)は対局再開直後に部屋に戻ってきた

午後1時、対局が再開し、記録係が「時間になりました」と宣言した。対局室には佐藤康光九段だけ。羽生善治九段が数十秒して戻り、すぐに思考に没頭した。

妻理恵さんのツイッターには羽生九段との前日のやりとりが公開されている。理恵さんが用意していたボストンバッグと別のバッグを羽生九段が間違えて持って行ったらしい。その日のうちに静岡駅近くのデパートで必要なものはそろえたようで、理恵さんは「全ては前日までに事なきを得ました」とつぶやいている。

第78期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が27日、静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で一斉に指される。「将棋界の一番長い日」と称され、トップ棋士たちが1日がかりで熱戦を繰り広げる。

すでに優勝と名人挑戦が決まっている渡辺明三冠は、第70期の羽生善治九段以来8期ぶりの全勝優勝がかかる。一方、久保利明九段の降級が決まっており、佐藤天彦(あまひこ)九段と糸谷(いとだに)哲郎八段、木村一基王位の3人に降級の可能性がある。

対局は27日午前9時に始まる。持ち時間は各6時間で、すべて決着がつくのは深夜になる見込み。豊島将之名人が登場する現地大盤解説会と棋譜は、朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/shougi/)で中継される。対戦カードは以下の通り。

渡辺三冠(8勝0敗)―三浦弘行九段(4勝4敗)▽広瀬章人八段(5勝3敗)―木村王位(3勝5敗)▽羽生九段(4勝4敗)―佐藤康光九段(4勝4敗)▽稲葉陽(あきら)八段(4勝4敗)―佐藤天九段(3勝5敗)▽糸谷八段(3勝5敗)―久保九段(2勝6敗)。