青野九段「糸谷君の立場だったんですよ」
今期A級は久保利明九段(44)の降級が既に決まっている。前期成績に基づく順位が1位の佐藤天彦九段(32)、4位の糸谷哲郎八段(31)、10位の木村一基王位(46)のうち1人が降級となる。A級に11期在籍した立会人の青野照市九段(67)は、ほぼ同じ状況での残留争いを経験している。
「私は、『今日の糸谷君』の立場だったんですよ」
第43期のA級順位戦(当時の名称は「名人挑戦者決定リーグ戦」)。1985年3月11日の最終戦を迎えた時点で加藤一二三九段(80)、青野九段、田中寅彦九段(62)の3人が2勝5敗で並んでいた。この時の降級枠は1人。前期成績に基づく順位は加藤九段から順に2位、8位、10位で、青野九段は自身が敗れ、田中九段が勝つと降級となる。自身が敗れ、木村が勝つと降級が決まる糸谷と同じ立場というわけだ。
では、その結果は?
「全員負けて、寅ちゃんが降級したんですよ」
加藤九段は勝浦修九段(73)、青野九段は森けい二九段(73)に敗戦。3人が2勝6敗で並び、田中九段が降級した。
「あ、その時の寅ちゃんの相手は、桐山先生だったんじゃないかな」
その記憶は正しく、田中九段が敗れた相手は、今回青野九段と共に立会人を務める桐山清澄九段(72)だった。検討室ですぐ隣にいた桐山九段も、それを聞いて笑みを浮かべていた。(村瀬信也)
村)1985年のA級順位戦最終局の時の話を青野九段に伺い、写真を撮ったところ、その時の当事者である桐山九段も写り込んでいました。そのお二人が今回立会人を務めることになるとは…。 pic.twitter.com/XTmwKmi5re
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) February 27, 2020