スマホアプリを使った「スマホ電子投票」がついに賛否両論の中で導入されることに – GIGAZINE

へぇ・・・



By newkemall

投票所にわざわざ足を運ばなくても、スマートフォンのアプリを操作するだけで選挙に投票できる仕組みが、2018年11月に実施されるアメリカの中間選挙で一部導入されることになりました。ウェストバージニア州が導入する「スマホ電子投票」は、当面はアメリカ国外で任務にあたる軍関係者に限定した運用になるのですが、セキュリティ関係者からは強い懸念を示す意見も挙がっており、賛否両論の状態で運用が開始されることになりそうです。

West Virginia to introduce mobile phone voting for midterm elections
https://money.cnn.com/2018/08/06/technology/mobile-voting-west-virginia-voatz/index.html

ウェストバージニア州で導入されるスマートフォンアプリによる電子投票システムは、専用のアプリ「Voatz」を使って投票するもの。ウェブサイトのトップページにはiPhoneの画面しか表示されていないのが気になるところではありますが、このアプリ以外からの投票はできない仕組みになっています。

Voatz
https://voatz.com/

電子投票を希望する有権者はまず政府が発行する身分証明書と自分の顔をムービーで自撮りしてアップロードし、システムへの登録を完了させる必要があります。アプリを開発した同名のVoatz社によると、投票システムに採用されている顔認証システムは同一人物であることを確実に保証できるとのことで、登録を完了させた有権者はVoatzアプリから投票することが可能になります。全ての投票データは匿名化され、仮想通貨で広く使われているブロックチェーンによって管理されることになります。

インターネット経由の投票システムということで、ハッキングなどのセキュリティ上の問題が懸念されるわけですが、バージニア州のマック・ワーナー州務長官は安全であることを主張しており、運用に自信をのぞかせています。また、Voatzではこれまでに準備を重ねてきており、セキュリティ対策は万全だと主張しています。すでに、2018年初頭に実施された2度の地方選挙でテスト運用が実施されており、問題は確認されなかったこと、そしてシステムを構成する4つのコンポーネントの監査を受けて問題が確認されなかったことがその根拠となっています。また、複数の民間組織の投票でもVoatzは導入されており、アメリカの音楽界における功績を表彰するロックの殿堂での投票にも活用されたことがあるとのこと。

今回のスマホ電子投票を利用できるのは、海外で任務に就くウェストバージニア州のアメリカ軍関係者に限定されています。海外で任務に就く国民に対しては従来からも投票を行える仕組みが整えられていましたが、今回のVoatzを使った投票システムはこれを補完するものになる模様で、有権者は従来通りの投票用紙を使った投票を選択することも可能です。

By Morning Calm Weekly Newspaper Installation Management Command, U.S. Army

選挙の仕組みを大きく変える足掛かりとなりそうな今回の施策ですが、セキュリティ関係者の中からは強い懸念を示す声も挙がっています。非営利団体「Center for Democracy and Technology」の主任技術者であるジョセフ・ロレンツォ氏はCNNに対し「モバイル投票は恐ろしいアイデアです。これは、恐ろしくセキュリティ性が低いデバイスを使い、恐ろしいネットワークを経由し、高いセキュリティを確保することが極めて困難なサーバーに投票するという恐ろしいものです」と、ネットワークやサーバーを含めたシステム全体にセキュリティの問題が存在している様子を語っています。

また、選挙の透明性を監視する団体「Verified Voting」の代表を務めるマリアン・シュナイダー氏は、さらに厳しい見方を示しています。CNNが「モバイル投票は良いアイデアか」と尋ねたところ、シュナイダー氏は「簡単に言って『ノー』です」と答えています。シュナイダー氏は、システムがVerified Votingの審査を受けていないことから実際のセキュリティ性を確認することはできないとしつつ、モバイル投票はそれ以外の電子投票システムに比べて攻撃可能な領域がはるかに広いことを問題点として挙げています。

マサチューセッツ工科大学(MIT)で政治科学を教えているチャールズ・スチュワート3世は、まだモバイル投票が普及するに至る「プライムタイム」は訪れていない(=機は熟していない)とみている一方で、ウェストバージニア州の今回の施策はテクノロジーを試す「大胆な機会」と捉えていると語っています。

情報源:スマホアプリを使った「スマホ電子投票」がついに賛否両論の中で導入されることに – GIGAZINE


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