「電王戦」「電王トーナメント」が将棋界にもたらしたもの | THE PAGE(ザ・ページ)

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ドワンゴは8月、将棋の最強コンピューターソフトを決める大会「将棋電王トーナメント」について今年は開催せず、昨年の大会を持って終了させることを発表しました。同大会優勝ソフトとプロ棋士代表が対決する将棋「電王戦」もすでに2017年に終了しており、これに伴って同トーナメントも幕を閉じた形です。人間対AI(人工知能)の象徴のような形で話題になった「電王戦」や「電王トーナメント」は将棋界にどのような影響を与えたのでしょうか。

「トーナメント」に勝てばプロ棋士と対決できた

[写真]2015年の電王戦FINAL第5局の模様(撮影・古作登氏)
[写真]2015年の電王戦FINAL第5局の模様(撮影・古作登氏)
「将棋電王トーナメント」は2013年にスタート。毎年秋に開催され、第1回の上位入賞ソフトはプロ棋士との5対5の団体戦である「将棋電王戦」の参加権利を獲得できました。さらに第3回、第4回は、優勝ソフトがプロ棋士代表(叡王戦の優勝者)との一騎打ち「電王戦」に進むことができ、将棋ソフト「Ponanza(ポナンザ)」が2年連続でプロ棋士に勝利。特に2017年は現役タイトル保持者である佐藤天彦名人を破ったことで、「すでにソフトは人間を超えている」と話題になりました。お隣の囲碁界でも2016年、米グーグル傘下のディープマインド社が開発した囲碁AI(人工知能)「アルファ碁」がトッププロ棋士イ・セドル氏(韓国)を破っています。

将棋ソフトの開発は40年以上前から始まったといわれており、1990年にはソフトの頂点を争う「世界コンピュータ将棋選手権」がスタートしていました。ただ当初はなかなか棋力が伸びず、人間を追い越すのはかなり先と思われていました。しかし、2006年に「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した「Bonanza(ボナンザ)」の設計図が公開されると、開発速度が一気に加速します。ボナンザは「機械学習」と呼ばれる手法を導入。過去の大量の棋譜を学び、その局面ごとの形勢の良し悪しを自動で評価する手法を採っており、大きな読みミスがかなり少なくなったことが強さにつながっています。「機械学習」の考え方は将棋ソフトだけでなく、現在のAI開発のキーワード、深層学習(ディープラーニング)につながっています。「電王戦」の対決はインターネットで生中継され、一般マスコミでも大きな話題となりました。また、「電王トーナメント」で上位入賞すればプロ棋士と真剣勝負できることが、開発者のモチベーションを上げたことも見逃せません。

成果披露の場が増え開発スピードが上がった

コンピュータに詳しい元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)は「電王トーナメント」について「それまで年に1回だったソフトの大会が、同トーナメントが追加されたことで半年に1回、成果を披露する場が増え、開発の進化スピードが上がった。ドワンゴがエンターテインメントとして電王戦の見せ方を工夫し、将棋界を盛り上げた。参加ソフトのすそ野も広げた」と評価します。

将棋ソフトが人間を追い越した時期について、古作氏は「2013年に三浦弘行八段(当時、現九段)がソフト・GPS将棋に敗れたところが分岐点」と見ます。「ポナンザ」の開発者も2015年ごろにはすでに超えていると感じていたと発言しています。そういう意味で「電王戦」「電王トーナメント」は将棋ソフトの人間超えをリアルタイムで見せていたともいえます。

古作氏は「将棋の勉強のためには、ソフトをいかに活用するかの時代。ソフトを使えば確実に学習効率は上がる。特に時間の少ないアマチュアにとっては大きなツールだ。昔は年齢を重ねると強くなれないといわれたが、私は50代だがソフトの活用によって、まだ棋力向上ができる余地を実感している」と話します。

人間の将棋は「間違うから面白い」

ソフトが強くなり過ぎてしまったことで、世の中の将棋自体への関心が薄れているのかといえば、そうではありません。プロ棋士の対局のインターネット中継は当たり前となり、昨年公式戦29連勝を達成した藤井聡太七段の活躍もいまだに注目されています。ネット中継では将棋ソフトの評価を見て形勢を判断することもしばしばで、初心者でも分かりやすく見られることから、「観る将棋ファン」の拡大につながっているともいわれます。さらに古作氏は「人間は間違うから面白いのであり、逆転があるから味がある」として、人間どうしの対局の面白さは変わらないと指摘します。

AIが実社会の人間の仕事に取って代わられるといわれる時代。「グーグルの参入などで分かるように将棋や囲碁のソフト開発者は優秀と評価されている。今後の応用として、病気の診断などに広がりを持っていくことは当然考えられる。開発者たちが今後どういう方向に進んでいくのか注目したい」(古作氏)。

情報源:「電王戦」「電王トーナメント」が将棋界にもたらしたもの(THE PAGE) – Yahoo!ニュース

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