偉人のアンドロイド 「人格権」が課題に 基本原則を議論

偉人のアンドロイド 「人格権」が課題に 基本原則を議論 | NHKニュース

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歴史的な人物を再現したアンドロイドにさまざまな行為をさせることがどこまで許されるのか。文豪・夏目漱石のアンドロイドを製作した二松學舍大学で、26日、アンドロイドの基本原則を話し合うシンポジウムが開かれました。

夏目漱石が少年時代に学んだ私塾をルーツに持つ二松學舍大学は、おととし、大阪大学とともに生前の姿を再現した漱石のアンドロイドを作り、講義に登壇させるなど活用を進めてきました。

一方で、歴史的な人物を再現したアンドロイドにさまざまな行為をさせることがどこまで許されるのかといった人格権の問題が学内で議論となっていました。

今回のシンポジウムは、こうした「偉人アンドロイド」の基本原則を考えようと開かれ、はじめに、漱石アンドロイドが役者として夏目漱石を演じる演劇が披露されました。

このあとのシンポジウムで、アンドロイド研究の第一人者、大阪大学の石黒浩教授は「アンドロイドは直接的に人に影響を与えるためポジティブな影響を与えるものであるべきだ」と主張したほか、参加者からは「故人・遺族の名誉やプライバシーを害さないように留意し、行為や発言はフィクションであることを明確に表示すべきだ」といった意見も出ていました。

一方、演劇を製作した劇作家の平田オリザさんは「アーチストとしては、どう使うかは自由にしてもらいたい。規制をかけるべきではない」と訴えました。

シンポジウムを開催した二松學舍大学の山口直孝教授は「アンドロイドを活用する上で、法律や権利について考えなければいけないと改めて感じました」と話していました。

二松學舍大学では、今後も議論を重ねたうえで漱石アンドロイドを利用する際の基本原則をガイドラインとしてまとめ、公表することにしています。

アンドロイド演劇で問う「人間らしさ」

劇作家の平田オリザさんは、これまでもアンドロイドが出演する演劇を製作し、「人間らしさとはどういうことか」について問題提起を続けてきました。

26日に上演された劇は「手紙」と題され、夏目漱石と俳人・正岡子規の友情を描いています。

漱石の役を漱石アンドロイドが、子規の役を女性の俳優が演じ、2人の掛け合いで物語が進む中、いかに違和感なく感情移入できるかを観客に問いかけています。

シンポジウムが開かれる前、平田さんは取材に応じ、この演劇の狙いについて「漱石は本人そっくりなので、その対比で正岡子規の役をあえて女性に演じてもらいました。『これはフィクションである』と感じてもらうため、意図的に使いました」と述べました。

そのうえで、「漱石アンドロイドが『のぼさん』と子規の名前を呼んだとたん、見ている人は演じている女性のことを正岡子規だと感じる。子規の役を女性が演じてもOKなのに、アンドロイドだと問題になるというのはどういうことなのか、議論してもらいたい」と話していました。

漱石アンドロイド 「尊厳に関わる」意見も

二松學舍大学では、おととし、文豪・夏目漱石のアンドロイドが完成して以降、その活用方法の是非をめぐってさまざまな意見が交わされています。

例えば、漱石アンドロイドが講義に登壇した際、いすに座った状態で運ばれてきたことがありました。

これに対して、一部の教員から「漱石が晩年に衰弱してお弟子さんの押す車いすに乗っていたという事実があれば良いが、そういう事実はない。漱石の尊厳に関わる」といった意見が出されたのです。

このため、今後登壇する際には、幕が開く前に壇上に運んでおくことを確認しました。

こうした議論は毎月行われていて、意見が交わされるテーマは、漱石アンドロイドの人物像や話す内容、語り口など多岐にわたります。

▽多種多様な人が接することを想定して人権に配慮した言動が求められる
▽伝記的事実と異なる発言はしない
▽現在の事象については踏み込んだ発言は控える

漱石アンドロイドは、技術の進歩と「人格権」の調和をどうとるのかという重い問題を投げかけています。

情報源:偉人のアンドロイド 「人格権」が課題に 基本原則を議論 | NHKニュース


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