へぇ・・・
2023.1/21 15:00
年が明けてすぐ始まるタイトル戦として、ALSOK杯王将戦のほかに、岡田美術館杯女流名人戦がある。
女流のタイトル戦は男性と同じ8つで、これは囲碁界の女流棋戦の5つより多い。スポンサーが長年、女性の将棋に関心を持ってくれていることに感謝したい。
現在のタイトルの勢力図は、里見香奈が白玲を始めとした五冠。西山朋佳が女王と女流王将の二冠。そして伊藤沙恵が今回初防衛戦となる、女流名人の一冠という構図だ。
女流のタイトル戦と言えば、最近はこの3人に加藤桃子女流三段を加えた4人で、タイトル争いをしているように見える。
昨年の暮れには、リコー杯女流王座戦で、加藤が里見に挑戦し、加藤がフルセットまで追い込んだが、最終局で敗れ、タイトルを手にできなかった。
里見の最終局の強さは抜群で、追い込まれても最後には勝つのが当然のようになっている。
挑戦者にしてみると、勝ちが見えた瞬間に、震えるのか、あるいはタイトルが取れると思って焦るのか、最後の最後で勝ちを逃して逆転負けをすることが多い。正にこの女流王座戦がそうだった。
男性棋戦もそうだが、挑戦者は相手と同時に、自分がタイトル保持者になれるのかという、プレッシャーとも戦うから、重圧感が半端ではないのだ。
今回の女流名人戦は、西山にとってはタイトルを奪取して3つとし、里見を追いかける絶好の機会だし、伊藤にとっては初タイトルを死守して、タイトル保持者の常連となる、試金石である。
対局場所は、箱根の『岡田美術館』。絵画や陶磁器など、個人が収集した美術館だが、考えられないほどの逸品がそろっていて、一見の価値がある。
将棋は西山の三間飛車に対して、伊藤は急戦を仕掛けていったが、余りにも玉が薄い戦いで、西山に飛車を捨てての強襲を決められ、西山の快勝となった。
挑戦者の貫禄勝ちというのは、あまりない表現だが、ここではそんな感じがしたものだった。
このところ、里見―西山の相振り飛車戦が続いていただけに、振り飛車に急戦の将棋は新鮮に見えたが、この棋戦は五番勝負だけに、次が伊藤にとってカド番のようなもの。
初防衛を目指すのに、次はどんな作戦を用意するか楽しみである。
あおの・てるいち 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】女流タイトルの行方 最終局の強さは抜群、里見香奈女流五冠を3人が追う戦いに(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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