稲葉陽八段
2022.3/19 10:00
この10日のC級2組一斉対局をもって、2021年度の順位戦がすべて終了した。
A級は既報の通り、斎藤慎太郎八段の挑戦が、2月の時点で決まっていた。
注目は藤井聡太五冠のA級昇級なるかのB級1組だったが、最終局に佐々木勇気七段を破り、10勝2敗で昇級を決めた。藤井に限っては、すでに五冠を持っているから最初から大本命で、肩書がやっと実力に追いついただけと言える。
猛者揃いのB級1組も、かつての羽生世代のように、この人は素通りされても仕方ないと思われたら、スンナリ通してくれるものである。
相手の佐々木も、開幕から7連勝まではトップを走っていたが、8局目を屋敷伸之九段に止められてからは5連敗して、圏外に去った。
まさに「鬼の住処」と言われたB1の洗礼を受けた形になった。
もう一人は、昨年降級したばかりの稲葉陽八段が、郷田真隆九段を破り、9勝3敗での復帰を決めた。
1期での復帰は、自他共にまだ落ちる格ではない、復帰して当然と言う雰囲気が漂う時に、復帰できるものだが、年を取って気力がなくなり、落ちても当然かなと思うと復帰できなくなる。
実は不肖、私もそうだった。33歳でA級から降級した時は「B1なんかにいられるか」と思って、1年で復帰した。しかしそれから4年後に落ちた時は「もう40歳も近いし、そんなものか。これからは普及に尽くさねば」と思ったせいか、その後は毎年降級候補。9年後に2回目の復帰を果たした時は、全く心境が変わっていたのが幸いした。
稲葉は初A級で挑戦者になったほどのパワーの持ち主だから、復帰は何ら不思議ではない。2009年度からの佐藤康光九段の、降級~即A級復帰がこれに当たるだろう。
同じ9勝でも頭ハネで昇級を逃したのが、千田翔太七段。しかし今回の実績は来期の順位となって働くから、チャンスといえる。
B級2組は昇級3人だが、すでに1月に決めていた中村太地七段の他は、澤田真吾七段と丸山忠久九段がゴールインした。
澤田は三重県鈴鹿市出身の、安定した若手の実力者。最終局も勝ち、中村を抜いて順位1位での昇級となった。
丸山は元名人でまだ51歳だから、まさにこんな所にいる格ではない一人であろう。もっとも50歳を過ぎると、誰でも辛くなるから勝負はこれからだ。
情報源:【勝負師たちの系譜】令和3年度順位戦の総括(1) 稲葉八段〝1期で復帰は当然〟実力の表れ 初A級で挑戦者になったほどのパワーの持ち主(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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