今年20歳の藤井聡太竜王、「道」極める思い語る 好きな正月料理も

今年20歳の藤井聡太竜王、「道」極める思い語る 好きな正月料理も:朝日新聞デジタル

2022年 新春インタビュー(朝日新聞)


2022年1月1日 5時00分

将棋の藤井聡太竜王(19)=王位・叡王・棋聖と合わせ四冠=が、2022年の幕開けに合わせて報道各社の合同記者会見に応じた。タイトルを二つ加えて四冠となった昨年の活躍について、「実力以上の結果を出せた。非常に充実した1年だった」と振り返った。20歳を迎える2022年については、「(1月9日に開幕する)王将戦からタイトル戦がしばらく続く。しっかりコンディションを整えて、いい将棋が指せれば」と抱負を語った。

藤井竜王は昨年、叡王と竜王を獲得して史上最年少、10代初の四冠となった。王将戦七番勝負では渡辺明王将(37)=名人・棋王と合わせ三冠=に挑戦する。昨年12月に行われた会見では、好きな正月料理や色紙の文字に込められた思いなどについても語った。

一問一答は次の通り。

――2021年を振り返って。10代でやっておきたいことは。

「叡王と竜王という二つのタイトルを獲得して、自分の実力以上の結果を出すことができた。他にも棋聖戦、王位戦の防衛戦を含めて、大きな舞台の対局をたくさん経験して非常に充実した1年だったと感じている。それ以外はこれまでと同じように健康に過ごすことができたと思う。10代のうちにやっておかないといけないことは特にないと思うので、意識していない」

――追われる立場になったことについて意識することはあるか。最年少五冠への意識は。

「11月に竜王を獲得することができて、四冠になった。過去に竜王になられた方は偉大な棋士ばかりで光栄に思っている。将棋を指す上で立場の違いは関係ないことなので、意識することはないと思っている。1月から王将戦のタイトル戦が始まる。いい内容の将棋にできるように、と思っている」

――渡辺名人、豊島将之九段とのタイトル戦を振り返って、2人の印象は。

「渡辺名人とは今年(2021年)の棋聖戦で対戦して、結果は幸いしたが内容的には際どい将棋が多かった。序中盤のプラン、戦略の面でペースをつかまれた将棋も多く、渡辺名人の強さを感じたシリーズだった。豊島九段とは三つのタイトル戦で続けて対戦することになり、こちらが気づいていない構想を示されてリードされることが多かったという印象がある。豊島九段の強さを感じると共に自分の課題をつき付けられたという印象でもあった」

――印象に残ったタイトル戦、対局は。その理由は。

「もちろんどのシリーズも印象に残っているが、一つ挙げるとしたらフルセットになった叡王戦。第4局は完敗だったが、際どい内容の将棋が多くて印象に残っている。それ以外の対局では、王将リーグの豊島九段戦と羽生(善治)九段戦。どちらも中盤から珍しい形になって応酬が続いて、難解な将棋だったので印象に残っている」

――NHK杯やJT杯などの超早指し戦で思うような結果が出せていない。

「長時間の対局に比べて結果が出ていない。内容を振り返ると、途中でわかりやすいミスが出てしまっていることが多いので、それを減らすことが重要かなと感じている」

――将棋でこの1年、成長したと感じることは。

「一つあげると、相懸かりという戦型を先手番で指すようになって、いろいろ初めてわかったこともある。それ以外の戦型に関しても序盤の理解が深まってきている部分はあるのかなと思う」

――ABEMA将棋をご覧になっているみなさんへメッセージを。

「いつもご観戦いただき、ありがとうございます。2022年、より面白い将棋を見せられるよう頑張っていきたい。よろしくお願いします」

――デビューから6年となる。変わったこと、変わらなかったことは。

「デビュー戦が2016年の12月なので、5年と少しということになると思う。基本的には変わらないことが多いと思うが、タイトル戦で地方で対局することも増えたので、楽しみでもあり、モチベーションになっている」

――弟子入りを受け入れる考えは。

「現時点では特に考えていない」

――年末年始はどのように過ごすか。正月料理で好きなものは。

「普段通り、家でゆっくりしようと思っている。正月料理だと、自分としてはかまぼこが好きです」

――息抜き、趣味は何か。

「特に息抜きを意識していることはないが、将棋観戦は気楽にできるので、息抜きに近いかなと思っている。趣味については、最近はチェスプロブレムを解くことをやっています」

――賞金の使い道は。

「特に決めていない」

――同い年の伊藤匠四段は、25歳までに藤井竜王とタイトル戦を戦うために師匠の宮田利男八段から酒とギャンブルは禁止と通達されている。師匠の杉本昌隆八段から何か通達されているか。

「特に師匠からそういった話をいただいたことは、自分の記憶ではなかったと思う」

――藤井さんが求める強さとは何か。そのために工夫していることは。

「強くなるのは大きな目標として取り組んでいる。強さをどう測るかというと、長期的に見て結果がこれまでよりも出ているかが目安になる。内容的に、これまでより将棋に対する理解が深まる、深く考えられるというのが強くなることで変わってくるのかなと思う。そういったところを目指していければ、と思っている」

「普段の対局の中で適切に判断できない局面が常にある。そういった局面を新たに考えて、どうすればうまく考えられるかを考えていくことになる。技術面以外については、現時点で意識していることはないが、結構対局が多くなるとコンディションの維持が難しくなることがある。気を配る必要がある」

――最近は力勝負になりやすい相懸かりの採用が多い。この戦型をどう考えているか。

「割と力戦になりやすいところがあったが、最近は定跡化が進んでいる。序盤から手が広いということは変わらない。一つの定跡手順を覚えるというよりは、どういった形が好形になるかという認識を深めることが大事かなと思う」

――序盤の研究に力を入れている。自身でどう評価するか。

「序盤における細かな違いを以前よりも認識できているかなと思うが、まだうまく判断できないところもある。課題はある」

――普段の勉強方法は。

「自宅で取り組むことが多い。その中で、自分が指した対局を振り返ることであったり、ソフトと対局したりすることもあるが、ソフトは展開が偏りやすいところもある。ソフトの設定を変えるなど試行錯誤している」

――不調を感じた時に心がけていること、対処法は。

「具体的な対策があるというより、あまり意識せずにこれまでやってきたことを継続するしかないのかなと思う」

――成人するのに際し、オフで挑戦してみたいことは。

「特に成人しなければできないことはそれほど多くないかな、と思うのであまり意識していない」

――成人を迎えるにあたり、将棋に対する向き合い方に変化があるか。将棋が自身の人格形成にどう影響したか。

「変わることは特にないかな、と思う。5歳の頃から将棋をやっているので、やっていなかったらどうだったかを想像するのは難しい。やっていると負けることがあるので、うまくいかないことを受け入れて次につなげることが将棋を通してできるようになってきたのかなと思う」

――2022年1月からの王将戦七番勝負について意気込みを。

「渡辺王将と2日制の対局は初めてになる。強さはこれまでに感じているので、こちらが8時間の持ち時間を有効に使って対抗できるようにやっていければと思っている」

――八冠制覇はやってみたいか。やるとすれば、いつごろまでに。

「自分自身が意識することではないかな、と思っている。実力をつけていくしかないのかな、と思っている」

――以前のインタビューで「将棋を国際的に広めてみたい」と話していた。具体的に何かやろうとしていることは。

「自分としては、プレーヤーとしての対局がしばらくはメインになると思う」

――2022年はA級順位戦で戦う可能性が高くなっています。来年名人挑戦の可能性がある。

「現時点では意識することではないかな、と思っている。B級1組、残り3局しっかり対局して昇級できれば」

――20歳となる2022年の抱負。将棋と将棋以外で成し遂げたいこと。

「王将戦からタイトル戦がしばらく続く。しっかりコンディションを整えて、いい将棋が指せれば。そういった経験をしっかり生かして実力を高めていきたい」

――2022年は成人になる。今後の人生設計は。

「特に何か考えがあることではない。現時点ではプレーヤーとして実力を高めることが中心になってくるかな、と思う」

――正月にゆっくり過ごすとは、具体的に何をするのか。2022年、将棋以外の抱負は。

「毎年、のんびり過ごしている。年明けすぐに王将戦が始まるので、それに向けての準備をすることになる。2022年の目標、将棋以外は特にない。まずは健康に過ごせれば」

――「道」という言葉を揮毫(きごう)した。その文字に込めた意味は。

「強くなることを常に目標として取り組んできた。これからもぶれないように見据えて進んでいきたいと思っている」

――竜王が歩いているその道とは上り坂なのか、下り坂なのか。

「どういうことをすれば強くなるか、という決まった方法があるわけではない。常に試行錯誤しながらではある。その分、前に進んだ時の充実感はあるのかなと思う」

――棋士は負けを恐れるものだと思うが、藤井竜王はあまりそうではないように思う。恐れるもの、怖いものは。キノコ以外に。

「キノコは以前よりは食べられるようになったかもしれない。自分の将棋やパフォーマンスに対する不安は常にある。それを打ち消すために普段からしっかり取り組むこと。負けを恐れるという気持ちをゼロにはできない。対局ではそれ以上に楽しむ気持ちを持つことがいいのかなと思う」

――将棋のことを全く考えない日は。

「1日通して全く触れない日は少ないかもしれない。将棋のことを全然考えていない時間もたくさんある。チェスプロブレムを解いている時とか。自分としては1日の中で切り替えながらやっている」

――負けた時にどのように気持ちを切り替えるのか。

「対局中に関しては、これまでの局面に気を取られてしまってはいけない。目の前の局面に集中するよう意識している。対局後はミスをしてしまった場面を振り返って、どういった要因でミスをしたのかをしっかり分析して次につなげるのが重要かなと思う」

――どうやって振り返るのか。

「基本的にソフトを使ってということが多い。自分がどこでミスをしたのかというのはわかるが、なぜミスをしたのかはすぐにはわからないので、ソフトの読み筋と自分の読み筋を合わせながら考えるようにしている」

――普段の将棋の勉強で苦しいと感じることはあるか。そういうときはどうするのか。

「普段取り組んでいて、常に成果が出るわけではない。自分としては考えてもわからない時はある。深刻に捉えすぎても良くないかなと思う。淡々と続けることが、長期的には成果につながるのかなと思っている」

――苦しいと考える前にコントロールするということか。

「取り組んでいてなかなかうまくいかない時は、いったん違うことをやったりして、自分として無理のないペースでやることがいいのかなと思っている」

――藤井竜王は鉄道が好きということで旅も好きかと思う。これまでのタイトル戦で思い出に残る景色は。王将戦の道中で楽しみにしていることは。

「タイトル戦は、これまで行ったことがないところに行くことが多いので、一つの楽しみになっている。これまでだと、函館線で札幌から旭川まで行った時の景色がすごく素晴らしくて印象に残っている。王将戦でも栃木県、佐賀県、島根県、新潟県と初めて行くことになるので楽しみにしている」

――藤井竜王の活躍は社会的にも大きなニュースになっている。

「インターネット中継などの環境が整ってきたことで、多くの方に将棋というコンテンツに関心を持っていただきやすくなっている。自分自身が棋士として面白いと思えるような将棋を指していきたい」

――コンディションの保ち方は。

「今年はタイトル戦も含めて対局が続く状況になって、数多く対局を指してうまく指せたものもあれば、あまりうまくいかなかったものもある。対局の振り返りはするが、うまくいかなかったことをあまり意識せずに、次の対局に集中するというふうに考えてやっていた」

――体力の保ち方は。

「対局の後であっても普段より早めに寝るというのは意識していた」

――体力作りで何かしていることはあるか。

「特にはないが、移動の機会が多いので、なるべく歩くようにということは意識している」

――一人暮らしをしてみたいとか。

「現時点では特に考えていない。しばらくは愛知を拠点にやっていくことになるかなと思います」(村瀬信也)

情報源:今年20歳の藤井聡太竜王、「道」極める思い語る 好きな正月料理も:朝日新聞デジタル



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