2020年の棋聖戦
2021年10月17日 5時00分
2020年9月23日。藤井聡太(19)は東京都港区のホテルで、初タイトル「棋聖」の就位式に臨んだ。金びょうぶの前に現れた藤井が一礼すると、会場から拍手が湧き起こった。
就位式は将棋関係者やファンが棋士のタイトル獲得を祝い、互いに交流を深める場である。だが、コロナ禍で大人数の出席が難しくなった。この日は、主催者や関係者の一部と報道陣が見守る中での開催となった。
まず、日本将棋連盟会長を務める佐藤康光(52)があいさつに立った。「14歳2カ月でプロになってから約4年。これだけ強くなれるんだと認識させられたシリーズだった」。そう語って、藤井に就位状を授与した。
師匠の杉本昌隆(52)は藤井に花束を手渡し、師弟そろっての記念撮影の後、マイクを握った。「不調になったらアドバイスをしようかなと思ったが、アドバイスをすることがなくて寂しいと思ったこともあった」
冗談を飛ばした後、こんな逸話を披露した。
「(17年に)藤井棋聖が29連勝した時に取材を受け、『これは映画で言うなら、まだ予告編』と答えたことがある。棋聖獲得で本編が始まったぐらいかなと思う。これから記録を塗り替えていくのだと思う」
弟子のタイトル獲得を喜ぶと共に、さらなる活躍を確信していることがうかがえた。
羽織はかま姿の藤井がマイクの前に立った。主催者らへの謝意を示した後、緊張した様子でこう述べた。「五番勝負を通して得がたい経験をすることができた。この経験を生かして、成長できるよう努めて参りたい」
藤井は29連勝を果たした後の記者会見で「タイトルを狙える棋士になりたい」と語った。あれから3年。ようやく幕が開いた「本編」でも、様々なドラマが繰り広げられることになる。=敬称略(村瀬信也)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)試練編:6 初のタイトル獲得、ようやく「本編」へ:朝日新聞デジタル
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タイトル獲得してからが本編。
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