原稿が書かれたのは7月
2021年8月7日 16時30分
夏の全国高校野球選手権大会。昨年は新型コロナの影響で大会そのものが中止でした。今年もチアリーディング部や吹奏楽部等、応援の活動に制限はあるようですが、昨年とは雲泥の差。若い人たちが充実した夏を過ごしてくれるよう望みます。
7月も中旬に入り、将棋界の学生たちもそろそろ夏休みの準備でしょうか。期末テストのため、少し前の研究会では大半の弟子が休みでした。
結局、その日は10人中8人が欠席で、来られたのは大学生の弟子とテスト期間がずれていた中学生の弟子の2人でした。
忙しい弟子といえば、藤井聡太二冠のスケジュールには驚くばかりです。タイトル初防衛と九段昇段で歴史的な日となった棋聖戦第3局の3日後には大阪で順位戦、そのまた4日後には竜王戦の本戦対局をこなしていました。
一つ一つが火を噴くような大勝負。これらを全て勝ってさらに前進、今年はひときわ熱い、藤井聡太の夏です。
藤井二冠が順位戦で勝利した翌日、実は私も大阪で順位戦の対局でした。
昼休みに見かけたマスク姿の記録係。よく見ると名古屋に住む高校生の私の弟子でした。記録係の勉強を終え、翌朝に名古屋に戻ってそのまま学校に通うその弟子。きっと教科書や筆記用具を持ったまま移動していたのでしょう。
振り返ると私も中学時代に同じことをした記憶があります。
大阪で記録を終えた翌日、始発の新幹線に乗り損ねた当時の私。朝礼から3時限目までは休んだものの、昼前に加わって素知らぬ顔で同級生たちと一緒に弁当を食べていたものです。
「どうして遅刻したの?」
「大阪で将棋の勉強をしていたから」
「ふーん?」
同じ中学生同士ながら全く話がかみ合わなかったことが漠然と記憶にあります。学校も了解済みの「大阪出張」帰りの登校は、棋士を目指していたからこそ味わえた充実感でした。
10代の夏は短いものの、いくつになっても忘れることはありません。弟子たちの活躍を期待しつつ、関わる自分も初心忘れるべからずを心掛けたいものです。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太二冠の師匠でもある。
※この回は7月に書かれました。
情報源:(杉本昌隆八段の棋道愛楽)10代の弟子 熱く短い、それぞれの夏:朝日新聞デジタル
あ
ほぉ・・・
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