本紙との単独インタビューで、色紙に「探究」と記した藤井聡太棋聖(桐山弘太撮影)

藤井聡太棋聖インタビュー 「まだ強くなる余地ある」 – 産経ニュース

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本紙との単独インタビューで、色紙に「探究」と記した藤井聡太棋聖(桐山弘太撮影)
本紙との単独インタビューで、色紙に「探究」と記した藤井聡太棋聖(桐山弘太撮影)

強みは自分では分からない。人と比べて意識しないんです。

将棋のタイトル戦「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)を制し、史上最年少で初タイトルを手にした藤井聡太棋聖(18)の就位式が23日、都内で開催される。藤井棋聖は就位式を前に、本紙の単独インタビューに応じ、自らの課題を分析した上で「まだまだ強くなる余地があると思います」と語った。

藤井棋聖はインタビューの中で、幼少期の将棋との出会いから現在の日常生活、対局での課題、自分の将来像などを吐露した。

公式戦については、中盤で読みを深めるため時間を使い終盤に十分な時間がなくなることもあり「予想にない手を指されると対処が難しい。中盤の戦い方が課題」と総括。その上で「どんな局面でもしっかり自分で考え、最善手や好手に近づくのが一つの理想。自分の中でまだまだ強くなる余地はあると思います。強くなることは今後も常に目標」と、さらなる高みを目指す思いを口にした。

将棋界は「藤井時代」が到来した。初タイトルの棋聖から1カ月余りで王位も獲得し、2冠を保持する藤井聡太棋聖が単独インタビューに応じた。タイトルを背負う棋士としての自覚や今後の目標について言及する一方、普段の生活や気になるニュースにも触れ、18歳の等身大の姿も浮かび上がった。(中島高幸)

--注目された第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負は、第2局で指された、守りに使う金を攻めに使った△5四金や、攻めに使う持ち駒の銀を受けに使用した△3一銀などが“常識外れの一手”として話題になった

「△5四金に関しては、似たような形を事前に考えていたことがあり、(状況に応じて)やってみたい手でした。△3一銀は結構指し方が考えられるところで、一番いいとは言い切れないですが、自分なりに方針を決めてしっかり指せたという意味では収穫があったと思います」

--「弱点が見つからない」ともいわれるが、自らの強みと課題をどう自己分析しているのか

「強みは自分では分からないというか、人と比べて意識しないんです。(これまでは)中盤で読みに頼りすぎてしまうことが多かったと思うので、中盤の判断や戦い方が課題かと思います」

--世間では天才棋士と呼ばれることも多いが、どう受け止めているのか

「注目していただけるのはありがたいことだと思います。自分としては変わらず、よりよい将棋をお見せできるよう心掛けたいです」

--自身の性格について楽観主義と悲観主義のどちらと思うか

「将棋では楽観も悲観もしていないですが、どちらかといえば悲観してしまう場合が多いので、そのあたりを気をつけたほうがいいのかなと思っています」

--中学1年生でプロ棋士の養成機関「奨励会」の三段に上がったとき、人工知能(AI)搭載の将棋ソフトを使い始めた。利点をどう感じているか

「(ソフトには)気づかなかった手や判断を教えられることがあり、将棋の可能性を広げてくれると思っています。指し手や形勢について、自分なりに解釈し、判断することが大事です」

藤井棋聖誕生
藤井棋聖誕生

■詰め将棋を考えるのは終盤の読む力につながる

《藤井棋聖は幼稚園に通っていた5歳のころに将棋を始めた》

「最初に将棋を教えてもらったのは祖母でしたが、相当の初心者だったので、ルール通りに指していたか怪しいですね(笑)。祖母に勝ててうれしいという気持ちがありました」

--その後、近くの子供向け将棋教室に通うようになったとか

「通い始めのころは祖父と指していたんですが、自分が勝てるようになったので母と祖母が近くの教室を探してくれました。同年代の子と指す機会がなかったので楽しみでした」

--教室の文本力雄先生から所司和晴(しょし・かずはる)七段の『駒落ち定跡』を渡された。500ページ近くもある分厚い本だが、それを覚えた

「苦戦することはなかったです。意味が分かってくると覚えるのが早かったです」

--今でも役立っていると思うか

「(将棋の)基本の考え方を早い段階で身に付けたのはよかったです」

《教室では、詰め将棋も教育の柱だった。詰め将棋に夢中になった藤井棋聖は、早い段階で40手詰めくらいの問題を解いていた》

「手数が長くても解きやすい問題もあり、(文本)先生が自信をつけさせようと思って長い問題を出されたという気がします」

--幼い頃から取り組んでいる詰め将棋とは、自身にとってどういう位置づけなのか

「趣味に近いです。詰め将棋と実戦とでは考え方が違う部分が多いですが、詰め将棋の難しい問題をじっくり考えるのは終盤の読む力につながっていると思います」

「ひたすら実戦(を繰り返す)という方も多いかもしれませんが、詰め将棋や棋譜並べもしていたので、もしかしたらバランスがよかったのかもしれません」

■新聞を読んでいます。香港情勢も気になる…

《公式戦の対局で多忙な藤井棋聖。対局のない1日の主なスケジュールとはどんなものなのか》

「普通の日曜日だと最近は午前7時半ぐらいに目覚ましをかけるんですが、実際起きるのは午前9時ぐらい(笑)。朝ごはんを食べて、将棋の研究をします」

「正午から1時くらいに昼食をとり、その後研究。休みながらですが…。後は将棋の中継をみたりします。夕食は午後7時くらい。あとはその日次第で、たまにニュースをみます。午後11時から11時半くらいに就寝です」

--将棋以外で何かしていることは

「新聞を適当な時間に読んでいます。香港情勢はどうなってしまうのかと自分としても気になります」

--パソコンが趣味で、自作するほどの凝りよう

「ソフトを使い始めた当初はまったく知らなかったんです。(プロ入りする)四段になった直後にパソコンを新しく買おうと調べているうちに…(笑)」

《18歳の素顔が垣間見えるが、王位も獲得し将棋界を牽引(けんいん)する立場に》

「正直、自分が代表するという意識ではありませんが、タイトルホルダーは将棋界で頂点の一つで責任ある立場かと思うので、自覚はしっかりと持ちたいです」

--棋士については、天職と感じているか

「そうですね。ほかの経験がないので(笑)。(将棋に)日々取り組んでいても新しい発見があり、そこを大事にしたいです」

《八大タイトルのうち10代で早くも2冠を達成した藤井棋聖。10年後の自身の将来像をどう描いているのか》

「今より強くなっていてほしいです(笑)。その上で、より多くの方に知っていただけるような活躍ができたらいいなと思います」

藤井聡太棋聖の歩み
藤井聡太棋聖の歩み

藤井棋聖誕生 盤面に刻む快挙 9月23日に就位式

将棋のタイトル戦「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(主催・産経新聞社、日本将棋連盟、特別協賛・ヒューリック)で、初防衛を目指した渡辺明前棋聖(36)=名人・棋王・王将=を3勝1敗で破り、17歳11カ月の史上最年少で初タイトルの棋聖位を獲得した藤井聡太新棋聖(18)の就位式が23日、行われる。「タイトルホルダーとしてしっかりした将棋を見せていかなければ」と語る藤井棋聖に全4局のポイントとなった局面を挙げてもらった。(田中夕介)

■第1局 6月8日 東京・千駄ケ谷の「将棋会館」

▲藤井聡太七段 △渡辺明棋聖

午後7時44分、157手で藤井七段の勝ち

≪初戦光る終盤力≫

17歳10カ月と20日の史上最年少でタイトル戦の大舞台に立った藤井七段が現役最強棋士の渡辺棋聖に挑んだ五番勝負。振り駒で先手となった藤井七段が選択した戦型は、渡辺棋聖が得意とする矢倉だった。

藤井七段が挙げたポイントは109手目の▲1三角成の局面。藤井七段が今シリーズで一番印象に残る一手としている。

「先手としては、かなり突っ張った手です。この局面の前に▲7五香△同銀と進み、先手は後手の7五の銀を、歩か銀のどちらかで取り返すのが自然な手です。▲1三角成は、いったん王手をして相手の手を見てからどちらで手を戻すか決めようという狙いです」

詰め将棋には「打診の手筋」がある。自陣にいる相手の駒に働きかけて、「成」か「不成」かの選択を聞く意味だ。

この▲1三角成の王手に対して後手がどう対応するかによって、自分の手を決めるという「打診の手筋」の応用といえる。詰将棋解答選手権チャンピオン戦で5連覇中の藤井七段が、その実力を実戦で生かした。

「このあたりで良くなった可能性があります。大きなポイントとなったと思います」。両者1分将棋の中、渡辺棋聖の16連続王手を冷静に読み切り、タイトル戦初戦を白星で飾った藤井七段の終盤力を見せつけた一局だった。

■第2局 6月28日 東京・千駄ケ谷の「将棋会館」

▲渡辺明棋聖 △藤井聡太七段

午後6時38分、90手で藤井七段の勝ち

≪常識覆す3一銀≫

渡辺棋聖が1勝1敗のタイに戻すか、藤井七段が連勝で初タイトルに王手をかけるか、注目の第2局。先手の渡辺棋聖は敗れた第1局に続き、得意の矢倉を選んだ。自玉を固める前に鋭い攻めで主導権を握るべく急戦を狙った。しかし、藤井七段も激しく反発する。

藤井七段は42手目で△5四金と、守備駒の金を前線に繰り出した。後手の4五の桂を取る狙いで、藤井七段は局後、「この局面になればやってみたかった」と明かした。2手後には△4二飛。4一に自身の玉が位置し、狙われやすくなる。「金は守りに使え」「玉飛接近すべからず」の常識を覆す藤井七段の読みだ。

さらに、▲6六角で自身の2二の金が狙われた局面で指した58手目の△3一銀には、控室の棋士らから驚きの声が上がった。攻撃に必要な駒である銀を、今度は受けに投入した。

藤井七段が中盤でポイントとなったと解説するのは72手目の△4七歩成。「△3一銀の局面は指せると思いましたが、優勢ではなく、難しいかな、と。△7五歩から▲8七金△7六歩▲8八玉△7五桂▲7六金△4七歩成で攻めがつながると思いました」

中盤で優位を築いた藤井七段が渡辺棋聖を振り切り、快勝の内容。初めて和服で臨んだ藤井七段は「思ったより快適で普通に指すことができました」。

■第3局 7月9日 東京都千代田区の「都市センターホテル」

▲藤井聡太七段 △渡辺明棋聖

午後7時12分、142手で渡辺棋聖の勝ち

≪長考の末、9八銀≫

藤井七段が初タイトルに王手をかけて迎えた本局。藤井七段が3連勝で一気に決めるか、カド番の渡辺棋聖が一矢を報いるか。

藤井七段は最も得意とする角換わりを選んだ。「第1局で矢倉にしていた時点で、スコアにかかわらず、第3局は角換わりにする予定でした」。2人とも「研究範囲内」と、互いに序盤は指し手が速く進んだ。

しかし、渡辺棋聖が飛車を打ち込んだ90手目の△9九飛の王手を見た藤井七段は本局一番の長考に沈んだ。1時間23分考えた末、指した手は合駒を打つ▲9八銀だった。「△9九飛はまったく頭になかったです。長考して▲9八銀と打ちましたが、結果的にこの手が疑問手でした」

渡辺棋聖が優位を保って形勢が難しい中、藤井七段が指摘するポイントは渡辺棋聖が放った104手目の△8五桂。藤井七段は▲8五同銀と取ったが、渡辺棋聖はその銀を狙った△9三桂。「△8五桂から△9三桂は、自分では気づいていませんでした。とても好手で、指されてみると、しびれていたという感じでした。適当な受けがありませんでした」

渡辺棋聖は過去33回のタイトル戦で、ストレート負けを喫したことは一度もない。渡辺棋聖が意地を見せた一局だった。藤井七段は初黒星で、初タイトルの獲得は持ち越しとなった。

■第4局 7月16日 大阪市福島区の「関西将棋会館」

▲渡辺明棋聖 △藤井聡太七段

午後7時11分、110手で藤井七段の勝ち

≪防戦からの挟撃≫

藤井七段は第3局で敗れたものの、初タイトルまであと1勝。先手の渡辺棋聖が最終局に持ち込むか。

戦型は矢倉になり、途中までは藤井七段が勝った第2局と同じ手順で進んだ。渡辺棋聖は第2局の終盤で指した▲9六歩を前もって突いておく工夫を見せた。

第2局の改良策で鋭い攻めを見せる渡辺棋聖に、藤井七段は防戦に回った。難解な終盤が続く中でポイントとなったと解説するのは82手目の△8六桂の局面。

藤井七段は▲7三角成の飛車取りに構わず、先手の2九の飛車を狙う△3八銀。渡辺棋聖が▲5九飛と逃げた局面での指し手が△8六桂だ。「第4局は少し苦しい局面が続いていました。この△3八銀から△8六桂としたところで好転したと思いました」

3筋・8筋からの挟撃。「挟撃を目指すのは部分的な寄せのセオリーです。先手玉に▲7八玉と上がられてしまうと寄せが難しくなります。△8六桂で先手は受けが難しいと思いました」

渡辺棋聖が投了し、藤井七段は18歳の誕生日を迎える3日前、史上最年少で初タイトルを獲得した。

「渡辺先生と五番勝負で対局して非常に勉強になったことが多かった。今後に生かしていきたい」。高校生棋士と現役最強棋士との盤上の戦いは藤井棋聖の誕生で幕を閉じた。

■棋聖戦就位式をライブ配信します

産経新聞社と日本将棋連盟は「第91期ヒューリック杯棋聖戦藤井聡太棋聖 就位式&記者会見」を23日午後2時から開催、産経新聞社のニュースサイト「産経ニュース」(https://www.sankei.com/)で、その模様を独占ライブ配信します。就位式では佐藤康光・日本将棋連盟会長から就位状が、飯塚浩彦・産経新聞社社長から賞金目録と賞杯が贈られ、その後、藤井棋聖の記者会見が行われます。
ライブ配信は午後2時から50分間の予定。番組内では、産経新聞グループの各サービスを便利に利用できるウェブサイト「産経iD」の会員を対象に抽選で、藤井棋聖グッズのプレゼントの案内もあります。

産経ニュース https://www.sankei.com/

情報源:藤井聡太棋聖インタビュー 「まだ強くなる余地ある」(産経新聞) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:藤井聡太棋聖インタビュー 「まだ強くなる余地ある」(1/6ページ) – 産経ニュース



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