藤井聡太七段(右)を相手に初手を指す村田顕弘六段(左)=2019年6月18日、大阪市

(大志 藤井聡太のいる時代)鍛錬編:4 「強すぎる…」精鋭、往年の戦型ぶつけたが:朝日新聞デジタル

第78期順位戦C級1組1回戦


2020年5月3日 5時00分

藤井聡太七段(右)を相手に初手を指す村田顕弘六段(左)=2019年6月18日、大阪市
藤井聡太七段(右)を相手に初手を指す村田顕弘六段(左)=2019年6月18日、大阪市

2度目の挑戦に「今期こそ」という思いを秘めていただろう。2019年6月18日。藤井聡太七段(17)がB級2組への昇級を目指す第78期将棋名人戦・C級1組順位戦が開幕した。

昇級枠2をめぐり、36棋士が各10局指して争う長丁場。初戦の相手は村田顕弘(あきひろ)六段(33)。06~08年にプロデビューした糸谷(いとだに)哲郎八段(31)、豊島(とよしま)将之名人・竜王(30)、稲葉陽(あきら)八段(31)とともに「関西若手四天王」と称された精鋭の一人だ。

村田は18年に他棋戦で藤井に2連敗している。対戦が決まるとすぐに準備を始めた。「藤井さんの棋譜は全部見ました。最新定跡には第一人者と言えるぐらい精通しているので、定跡を離れた力戦(りきせん)を目指しました」

先手番と決まっていた村田が採用した作戦は、ヒネリ飛車だった。昭和期にプロ将棋界で盛んに指されたが、現在は下火の戦法だ。村田は修業時代、ヒネリ飛車を得意とする桐山清澄(きよずみ)九段(72)の対局の記録係を務め、その優秀性を体感していた。「経験値は自分の方がある戦型」を藤井にぶつけたのだ。

藤井は「奨励会」の若者らが研究している目新しい指し方で対抗したが、村田はそれも想定済み。準備の深さがうかがえた。しかし中盤で村田に疑問手が出て、藤井の強襲を誘発。激しい攻め合いの末、最後に競り勝ったのは藤井だった。「際どい形でしたけど、なんとか、しのぐことが出来たかな、という気がします」。局後に藤井はやや厳しい表情で語った。

一方、敗れた村田は「率直に言って、強すぎると思いました」と舌を巻く。「もしかしたら、これまで対戦した棋士の中で一番強いかもしれない」とまで。3連敗を喫した村田だが「注目される藤井戦は、ありがたい機会」。藤井の存在が先輩棋士を刺激して見える。=敬称略

(佐藤圭司)

◆毎週日曜に掲載します。

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)鍛錬編:4 「強すぎる…」精鋭、往年の戦型ぶつけたが:朝日新聞デジタル



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