(香川愛生の駒音だより)将棋の魅力は海に似ている:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2018年1月30日 5時00分

香川愛生女流三段
香川愛生女流三段

棋士の自分でも、どうしてこれほど将棋に魅入られてしまうのだろうと疑問に感じる瞬間がある。取材などで将棋の魅力を聞かれれば、答えはするものの、いつもいい言葉が浮かばず、もやもやしてしまう。

25日、佐藤康光九段と森内俊之九段の紫綬褒章受章記念祝賀会に出席した。お二人は、共に「永世称号」の保持者であり、会長と専務理事という運営面でも将棋界を支える立場に昨年就かれている。いずれも現役棋士でありながら、そのような決断をされたことの重みに思いを巡らせると、今の自分に何ができるだろうということを改めて考えさせられる。

佐藤九段は謝辞で、「将棋にも将棋界にも、無限の可能性がある」と語られた。その言葉を聞いているとふと、将棋盤の上には「海がある」と言えるのかもしれない、と思った。

将棋の可能性がどこまでも広がっていることは、水平線の先が見えないことにも海底の闇にも似ていると思う。ファンの方々は、水面のキラキラした輝きを見るように、棋士の活躍を見てくださっている。ただ、私が本当に魅入られているのは、光の届かない海底の恐怖感なのかもしれない。

将棋の魅力を伝えなくては、先輩から受け継いでいかなければという焦燥感も、自分の手の届かないところでも広い海はつながっていると思うと、気持ちもすこし大きく構えられる。(将棋女流棋士=おわり)

情報源:(香川愛生の駒音だより)将棋の魅力は海に似ている:朝日新聞デジタル



へぇ・・・