(香川愛生の駒音だより)蛸島先生の教え、伝えていく:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2017年12月19日 5時00分

香川愛生女流三段
香川愛生女流三段

史上初の将棋の女流棋士の1人で元女流名人の蛸島彰子女流六段(71)が、引退を表明された。女流棋士の歴史と共に歩んできた40年以上にのぼる現役生活に、近々幕を閉じられる。

9年前、私がプロとしてデビューした時の相手が、ほかならぬ蛸島先生だった。大望と期待を胸に盤に向かったが、不思議と自分らしい伸びやかな戦い方ができずに苦しみ、順当ながら空しさを禁じ得ない敗戦を喫することになった。沈黙する私と対照的に、ハキハキとした声で感想戦を進められていた姿が印象的だった。苦い思い出だが、今となっては、大先輩と盤を挟めたことへの感謝の気持ちが大きい。

昔は気づかなかったが、世代を超えて、将棋を介して伝え合う時間はとても尊いものだと思う。アマチュア時代は地元や道場のご年配の方々から、プロになってからは先輩方から、礼節も相手を大切に思う心も辛抱強さも教わった。今は、時に教える側の立場ともなる。むじゃきに駒と戯れる子どもたちの笑顔を見ると、あたたかい気持ちが芽生える。先生方も同じ心境だったのだろうかと思うと、感慨深い。

先輩の引退を聞くと、寂しいだけでなく、自分の現役生活についても考えさせられる。あと何度、何人と盤を挟めるのだろうか。勝つためだけでなく、思いと教わったことを指し手に一つでも多く込めて、伝えていきたい。

(将棋女流棋士)

情報源:(香川愛生の駒音だより)蛸島先生の教え、伝えていく:朝日新聞デジタル



へぇ・・・