(香川愛生の駒音だより)将棋に見た日本の文化:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2017年12月5日 5時00分

香川愛生女流三段
香川愛生女流三段

棋士の役割は勝負に限らず、将棋の魅力を国内外に広めていくことも大切だ。将棋を始めて15年以上経つが、身近すぎてそれまで見落としていたことに気づくことがある。

最近、公開中のアメリカのアニメ映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」を見た。不思議な力を備えた三味線を持つ少年クボが日本を冒険する物語だ。日本の伝統文化や精神性を解釈して再現するだけでなく、ファンタジーの枠の中で独自に構築された世界観が美しい。「日本人に生まれてよかった」という表現があるが、KUBOを見た感想はまさしくそれであった。

話は戻るが、私が考える将棋の魅力の一つに、それを通じて日本を知ることができるという点がある。向きが違うだけで同じ種類の駒同士が戦うというルールは、この島国において、同じ民族の間で繰り返し刃(やいば)を交えてきたという歴史に通ずるものがあると感じる。そうした素朴な特徴に気づいたのは、駒の色が黒と白に分かれているチェスと出会ったからだった。他の国のゲームは、陣営が違えば色が違うことが多い。

将棋を通じて得られる気づきには、国の歴史や文化を学んだ時と同様、しみいるような感慨深さがある。「KUBO」の劇中には将棋は登場しなかったが、もし監督に将棋を知ってもらい、解釈していただけたら、私たちが気付かなかった何かを教えてくれる気がする。

(将棋女流棋士)

情報源:(香川愛生の駒音だより)将棋に見た日本の文化:朝日新聞デジタル



へぇ・・・