残念でした
2020年3月7日 16時30分
千田翔太七段(25)が初優勝した第13回朝日杯将棋オープン戦。惜しくも藤井聡太七段の3連覇はなりませんでしたが、東京で指された公開対局は今年もたくさんのファンが集まり、大盛り上がりでした。遠方から来られた方も多く、やはり注目は藤井七段の戦いぶりです。
準決勝の相手は、強敵の千田七段。振り駒で後手となり、角換わりの最新形に。中盤、千田七段の新手が出ます。藤井七段も強く切り返しますが、角の打ち場所でミスがあり、それを的確に突かれてしまいました。
藤井七段が40分の持ち時間を使い切ったとき、千田七段の消費時間はわずか4分。形勢、時間ともに差をつけられ、事実上ここで勝負ありました。
何とか食らいつこうとする藤井七段でしたが、千田七段の落ち着いた指しまわしは正確無比です。そのまま押し切られ、準決勝敗退。会場のあちこちから「あー」とため息に近い声が漏れたのが印象的でした。
終局後のコメントや感想戦は敗者には辛いものですが、悔しさを胸に淡々と答える藤井七段。あらためて大した17歳です。午後の決勝戦を控室で検討する姿は、将棋の真理を追究する棋士の姿になっていました。
決勝戦では大盤解説会に私とともにゲスト出演した藤井七段。午前の敗戦に落ち込んでいるのではないか、と心配するファンも多かったようですが、元気な顔を見られて安心したことでしょう。大きな拍手が起こりました。
木村一基王位の解説もさえわたります。「藤井君はベテラン相手だと、最後は自分が勝つと思って指しているの?」
軽妙かつ鋭いつっこみに、ちょっと困りながら笑って答える藤井七段。対局中では見られない表情です。こんな光景が見られるのも解説会ならではでしょう。3連覇を期待していたファンからすると、ちょっとほろ苦い1日だったかもしれませんが、一緒の時間を共有できて満足そうでした。
帰りの新幹線では藤井七段と一緒でした。話題は今日の朝日杯。敗因が見つかったようで、別れ際には納得の表情をしていました。来年の藤井七段の朝日杯に注目しましょう。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。
情報源:(杉本昌隆八段の棋道愛楽)朝日杯敗退 悔しさ胸に淡々、堂々17歳:朝日新聞デジタル
ふむ・・・