(月刊将棋)瀬戸際の「いぶし銀」桐山九段 現役最年長の72歳、順位戦今期限りに:朝日新聞デジタル

72歳じゃしょうがない・・・


2020年2月1日 16時30分

高見泰地七段(手前)に敗れた後、対局を振り返る桐山清澄九段=1月16日午後、大阪市福島区の関西将棋会館
高見泰地七段(手前)に敗れた後、対局を振り返る桐山清澄九段=1月16日午後、大阪市福島区の関西将棋会館

将棋の現役最年長棋士、桐山清澄(きよずみ)九段(72)が、名人戦・順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)で対局するのは、現在進行中の第78期が最後と決まった。1月16日に高見泰地(たいち)七段(26)に敗れ、C級2組からの降級が確定した。玄人好みの渋い指し回しなどから「いぶし銀」と呼ばれてきた名棋士の節目の対局を振り返る。

桐山九段は奈良県出身、大阪府高槻市在住。1966年4月、プロデビュー。順位戦では最上位のA級に14期在籍し、81年には名人挑戦者となり、中原誠十六世名人(72)=2009年に引退=に挑んだ(1勝4敗で敗退)。タイトルは棋王1期、棋聖3期の通算4期、棋戦優勝は7回。これまで9人しか達成していない通算1千勝まで、あと7勝と迫っている。豊島将之(とよしままさゆき)名人・竜王(29)の師匠でもある。

輝かしい棋歴の桐山九段だが、勝負の世界は厳しい。順位戦では現在、5クラスのうち最も下のC級2組に在籍している。

C級2組では、ほぼ10カ月で各10局指し、下位の棋士に降級点がつく。降級点が3回つくと、順位戦に参加しないフリークラスへの陥落となる。陥落後、フリークラスに在籍できるのは60歳までという規定もある。

桐山九段はC級2組で降級点が2回ついており、今期に臨んだが、開幕から7連敗。今期C級2組には52人が参加し、下位10人に降級点がつく。降級点回避のためには、もう1敗も出来ない状況だった。

1月16日のC級2組8回戦。桐山九段は関西将棋会館(大阪市)で高見七段と対戦。前叡王の高見七段は、今期C級2組ではここまで7勝0敗と昇級争いの先頭に立っていた。

△7二金までの局面
△7二金までの局面

相居飛車の力戦となり、別室で検討していた棋士たちが沸いたのが図の局面。「▲7五角と出れば、次に、空いた6六の地点に桂を打つ手が味が良い」と、昨春から関西在住となった村山慈明(やすあき)七段(35)。だが、桐山九段の指し手は▲2五歩。チャンスを逃した形になってしまった。

午後10時45分、126手で高見勝ち。0勝8敗となった桐山九段は、残り2局で連勝しても下位10人に入ることが確定したため、3回目の降級点がつくことが決まった。

桐山九段にとって節目の対局となったため、感想戦の前に特別に主催紙記者が短くインタビューした。「順位戦は今期で最後になるが」と問われ、「一生懸命に指したんですけれど、どうも途中で悪手が出る将棋が多かったですね」と桐山九段。「残りの将棋を精いっぱい指したいと思います」とも話した。研究にAI(人工知能)を採り入れていることについて話が及ぶと、「現代将棋では(将棋)ソフトは無視は出来ないですから」。温厚な人柄の桐山九段は突然の質問にも真摯(しんし)に応じてくれた。勝った高見七段は、頭を低くして桐山九段の言葉に聞き入っていた。

関西将棋会館を出てから、ようやく笑顔を見せた高見七段は「こう指されたらイヤだなと思った手を、桐山先生にズバズバ指されました。自分が72歳になった時、あんな手を指せるだろうか、と思いました」。桐山九段の節目の対局の相手が、大先輩に敬意を払うことが出来る高見七段のような若者で本当に良かった、と記者は感じた。

桐山九段は、竜王戦など他棋戦の結果次第では、引退を余儀なくされる可能性が出てきた。(佐藤圭司)

情報源:(月刊将棋)瀬戸際の「いぶし銀」桐山九段 現役最年長の72歳、順位戦今期限りに:朝日新聞デジタル



1000勝は無理かな・・・