感想戦をする藤井聡太七段(左)と羽生善治九段=21日、東京都渋谷区 第69期王将戦挑戦者決定リーグ戦

藤井七段、最年少挑戦なるか 将棋・王将リーグ、暫定首位に:朝日新聞デジタル

残すは久保九段と広瀬竜王との2局


2019年10月28日16時30分

感想戦をする藤井聡太七段(左)と羽生善治九段=21日、東京都渋谷区 第69期王将戦挑戦者決定リーグ戦
感想戦をする藤井聡太七段(左)と羽生善治九段=21日、東京都渋谷区 第69期王将戦挑戦者決定リーグ戦

将棋の第69期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦(王将リーグ)で、高校生棋士の藤井聡太七段(17)がリーグ成績3勝1敗で暫定首位に立った。厳しいとみられていた最年少でのタイトル挑戦への期待が高まっている。

■羽生九段に快勝、全勝者はなし

王将リーグの一局が行われた21日、東京都渋谷区の将棋会館に多くの報道陣が詰めかけた。まだ挑戦者が決まらないリーグ中盤戦では異例のことだった。

対局者は藤井と羽生善治九段(49)。2人の公式戦での対戦は2度目だ。藤井が五段だった2018年2月に第11回朝日杯将棋オープン戦の準決勝で当時竜王の羽生を破り、決勝も制して初優勝を遂げている。

王将リーグは7人総当たりで渡辺明王将(35)への挑戦権を争う。藤井の他には前王将の久保利明九段(44)をはじめ、羽生、豊島将之名人(29)、広瀬章人竜王(32)、三浦弘行九段(45)、糸谷哲郎八段(31)とタイトル経験者ばかりが出場。リーグ初参戦の藤井は、豊島には敗れたものの三浦、糸谷に勝っており、これが4戦目。羽生は久保、豊島に連勝しての3戦目だった。

朝日杯は持ち時間が各40分だったが、今回は持ち時間が各4時間の長丁場だ。羽生の先手で午前10時に始まった対局は相懸かりの戦型に進み、戦いが始まったあたりから藤井がリード。最後は藤井が突き放して、午後7時15分、82手で快勝した。いいところなく敗れた羽生は「非常に力強く指されて、一手一手にすごく読みが入っているなという印象を受けた」と脱帽した様子だった。

挑戦権争いで暫定首位に立った藤井は「ここまで3勝1敗といいペースなので、残り2局も全力を尽くして挑戦をめざしたい」。連勝が止まった羽生は「まだリーグは続いていくので残りの対局も全力を尽くしていきたい」と話した。

2勝1敗の広瀬と羽生が藤井を追う展開だが、11月1日に広瀬―羽生戦があり、勝者が藤井に並ぶ。リーグ最終戦の3局は11月19日に一斉に行われる。同星首位が複数出れば順位上位2人のプレーオフとなるため、上位者は2敗でも可能性があるが、下位の羽生、藤井は厳しくなる。

■記録更新「ほぼラストチャンス」

王将戦七番勝負は例年、1月中旬に始まる。仮に藤井が挑戦権を獲得すればタイトル戦開幕時点で17歳5カ月となり、屋敷伸之九段(47)が持つ17歳10カ月の最年少タイトル挑戦記録を抜くことになる。

これまでは、「いつタイトル戦に出てもおかしくない」と言われながら、高い壁に阻まれてきた。昨年の第66期王座戦では、挑戦者決定トーナメントでベスト4にまで勝ち上がりながら、準決勝で斎藤慎太郎七段(26)に敗れた。

来年7月に18歳の誕生日を迎えるため、屋敷九段の記録を抜くには5月までに開幕するタイトル戦の挑戦者になる必要がある。王将戦の開幕後に始まる棋王戦や叡王戦ではすでに敗退している。今回は記録更新のほぼラストチャンスが巡ってきたと言っていい。

一方、羽生は19歳で初タイトルを取ってから、これまでタイトルを通算99期獲得し、節目の100期まであと1期と迫っている。しかし2018年末の竜王防衛戦に失敗して27年ぶりに無冠になると、その後はまる1年、挑戦者になることができず、タイトル戦から遠ざかっている。今夏の王位戦では挑戦者決定戦で木村一基王位(46)に敗れ、挑戦権を逃した。

どちらがこのチャンスをものにするか、また他の棋士がこれを阻止するのか。リーグ終盤戦から目が離せない。(村上耕司)

情報源:藤井七段、最年少挑戦なるか 将棋・王将リーグ、暫定首位に:朝日新聞デジタル




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