第78期 順位戦 C級1組 5回戦 藤井聡太七段 vs 宮本広志五段
先後はリーグ抽選時に決まっており、藤井七段の先手
10月15日、朝10時から対局開始、AbemaTVで生中継
2019年10月11日03時00分
和歌山県上富田町出身の将棋棋士・宮本広志五段(33)が15日、順位戦C級1組で藤井聡太七段(17)と対戦する。棋士養成機関「奨励会」の最終関門・三段リーグ戦を1期で抜けた俊英と、現行制度最年長の28歳で突破した苦労人の一戦だ。
宮本五段は小学1年の頃に将棋を覚えた。引っ越した大阪府茨木市の道場で頭角を現し、13歳で奨励会に入った。三段リーグには19歳から参加と順調だった。
だが、三十数人の三段が半年に18局ずつ指し、上位2人が昇段してプロになるリーグを、年齢制限の26歳に達しても抜けられない。29歳までは勝ち越せば残留できる規定に救われたが、「抜かれた後輩を『先生』と呼び、記録もとらないといけない。身近な友人も結婚したり就職したり。自分だけ取り残されて何をやっているんだろう、と」。
2012年には最終戦で勝てば昇段、という機会を2期続けて逃し、翌春からのリーグは7勝8敗と、残り3局を全勝しなければ退会の瀬戸際に。「もうさすがに助からない、と思いました」。ただ、ここから2連勝。最終戦の相手も年齢制限を迎えていた。
両者とも勝てば残留、負ければ退会の「鬼勝負」。「お互い普通ではなくて。対局前『僕が先手ですね』と言ったら、相手が『えっ?!』。先後は半年前に決まっているのに、僕も動揺して階下へ確認しに行きました」。勝てば相手の夢を断つ一局。「葛藤はありましたが、あまり考えないように。勝った後は『また半年頑張らなあかんな』と」。一度は終わったと覚悟して気楽になり、次のリーグで昇段を果たした。「こんなあっけなく上がるのかと。淡々としている自分自身にびっくりしました」
プロでは少数派となっている振り飛車を得意戦法とする。藤井七段との初対戦は17年6月。四間飛車に振って穴熊に囲う想定の局面に持ち込んだが「感覚の違い、読みの深さを感じた」。デビューからの23連勝を許した。10月の再戦には一番得意な中飛車をぶつけたが、押し切られた。「第一感がいい。知らない形にもしっかり対応してくる」と評する。
過去2戦は持ち時間が1時間未満と短い棋戦だった。今回は全棋戦で最長の順位戦。名人位につながる一方、負けが込めば棋士生命を断たれる。大相撲の番付の昇降になぞらえ「本場所」と呼んだ棋士もいた。昨期9勝1敗ながら順位差で昇級を逃した藤井七段は、今期も4連勝とトップを走る。宮本五段は2連勝の後2連敗で踏ん張りどころだ。
大事にしている言葉がある。「鬼勝負」に臨む直前、プロになれず退会した兄弟子に声をかけられた。「自分は勝って続けたいと思うあまり、手が伸びなかった。宮本君には思い切り指して欲しい」。以来、揮毫(きごう)を求められると「敢然」と書く。「相手は相変わらず強いけど、一番長い持ち時間でやるのは楽しみ。自分のやれることをやってぶつかっていくだけです」(大野宏)
〈順位戦〉 A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5クラスがあり、A級の優勝者が名人に挑戦する。持ち時間は各6時間。今期のC1は36人で、1人10局対局し、上位2人がB2に昇級する(全勝者は無条件)。下位7人に降級点が付き、二つたまるとC2に降級。C2で降級点がたまると順位戦に参加しないフリークラスに編入され、復帰に該当する成績を取れずに一定期間経過するか60歳を迎えると引退となる。
情報源:和歌山)上富田出身・宮本五段、藤井七段と15日に対戦:朝日新聞デジタル
村)15日にC級1組順位戦があります。三段リーグで奨励会退会の危機に立たされた際、プロになれず退会した兄弟子に声をかけられたある言葉を大事にしているそうです。
和歌山)上富田出身・宮本五段、藤井七段と15日に対戦:朝日新聞デジタル https://t.co/Tevz0zeMgX— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) October 11, 2019
▲藤井聡太七段 vs △宮本広志五段
先後はリーグ抽選時に決まっており、藤井七段の先手
10月15日、朝10時から対局開始、AbemaTVで生中継
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