和歌山)上富田出身・宮本五段、藤井七段と15日に対戦:朝日新聞デジタル

第78期 順位戦 C級1組 5回戦 藤井聡太七段 vs 宮本広志五段
先後はリーグ抽選時に決まっており、藤井七段の先手
10月15日、朝10時から対局開始、AbemaTVで生中継


2019年10月11日03時00分

宮本広志五段。今回の対戦では後手番(上側)となる。角道を開けたら、飛車をどこへ振るかがポイントだ=2019年9月30日午後1時58分、大阪市福島区の関西将棋会館、大野宏撮影
宮本広志五段。今回の対戦では後手番(上側)となる。角道を開けたら、飛車をどこへ振るかがポイントだ=2019年9月30日午後1時58分、大阪市福島区の関西将棋会館、大野宏撮影

和歌山県上富田町出身の将棋棋士・宮本広志五段(33)が15日、順位戦C級1組で藤井聡太七段(17)と対戦する。棋士養成機関「奨励会」の最終関門・三段リーグ戦を1期で抜けた俊英と、現行制度最年長の28歳で突破した苦労人の一戦だ。

宮本五段は小学1年の頃に将棋を覚えた。引っ越した大阪府茨木市の道場で頭角を現し、13歳で奨励会に入った。三段リーグには19歳から参加と順調だった。

だが、三十数人の三段が半年に18局ずつ指し、上位2人が昇段してプロになるリーグを、年齢制限の26歳に達しても抜けられない。29歳までは勝ち越せば残留できる規定に救われたが、「抜かれた後輩を『先生』と呼び、記録もとらないといけない。身近な友人も結婚したり就職したり。自分だけ取り残されて何をやっているんだろう、と」。

2012年には最終戦で勝てば昇段、という機会を2期続けて逃し、翌春からのリーグは7勝8敗と、残り3局を全勝しなければ退会の瀬戸際に。「もうさすがに助からない、と思いました」。ただ、ここから2連勝。最終戦の相手も年齢制限を迎えていた。

両者とも勝てば残留、負ければ退会の「鬼勝負」。「お互い普通ではなくて。対局前『僕が先手ですね』と言ったら、相手が『えっ?!』。先後は半年前に決まっているのに、僕も動揺して階下へ確認しに行きました」。勝てば相手の夢を断つ一局。「葛藤はありましたが、あまり考えないように。勝った後は『また半年頑張らなあかんな』と」。一度は終わったと覚悟して気楽になり、次のリーグで昇段を果たした。「こんなあっけなく上がるのかと。淡々としている自分自身にびっくりしました」

プロでは少数派となっている振り飛車を得意戦法とする。藤井七段との初対戦は17年6月。四間飛車に振って穴熊に囲う想定の局面に持ち込んだが「感覚の違い、読みの深さを感じた」。デビューからの23連勝を許した。10月の再戦には一番得意な中飛車をぶつけたが、押し切られた。「第一感がいい。知らない形にもしっかり対応してくる」と評する。

過去2戦は持ち時間が1時間未満と短い棋戦だった。今回は全棋戦で最長の順位戦。名人位につながる一方、負けが込めば棋士生命を断たれる。大相撲の番付の昇降になぞらえ「本場所」と呼んだ棋士もいた。昨期9勝1敗ながら順位差で昇級を逃した藤井七段は、今期も4連勝とトップを走る。宮本五段は2連勝の後2連敗で踏ん張りどころだ。

大事にしている言葉がある。「鬼勝負」に臨む直前、プロになれず退会した兄弟子に声をかけられた。「自分は勝って続けたいと思うあまり、手が伸びなかった。宮本君には思い切り指して欲しい」。以来、揮毫(きごう)を求められると「敢然」と書く。「相手は相変わらず強いけど、一番長い持ち時間でやるのは楽しみ。自分のやれることをやってぶつかっていくだけです」(大野宏)

〈順位戦〉 A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5クラスがあり、A級の優勝者が名人に挑戦する。持ち時間は各6時間。今期のC1は36人で、1人10局対局し、上位2人がB2に昇級する(全勝者は無条件)。下位7人に降級点が付き、二つたまるとC2に降級。C2で降級点がたまると順位戦に参加しないフリークラスに編入され、復帰に該当する成績を取れずに一定期間経過するか60歳を迎えると引退となる。

情報源:和歌山)上富田出身・宮本五段、藤井七段と15日に対戦:朝日新聞デジタル



藤井聡太七段 vs △宮本広志五段

先後はリーグ抽選時に決まっており、藤井七段の先手
10月15日、朝10時から対局開始、AbemaTVで生中継



無傷の5連勝なるか?