「十番勝負」いよいよ佳境 充実の豊島か、ベテラン木村か 王位戦と竜王戦挑決 将棋:朝日新聞デジタル

どうなるかな・・・


2019年9月2日16時30分

豊島将之名人
豊島将之名人

豊島将之名人と木村一基九段が、将棋の第60期王位戦七番勝負(新聞三社連合主催)と第32期竜王戦(読売新聞社主催)の挑戦者決定三番勝負という二つの大舞台で激突している。王位と併せて二冠の29歳と、初タイトルを目指す46歳のベテラン。対照的な2人が繰り広げる「十番勝負」に、注目が集まっている。

8月23日。竜王戦の挑決第2局が、東京都渋谷区の将棋会館で指された。勝てば広瀬章人竜王への挑戦が決まる豊島は、「相懸かり」を採用。豊島の猛攻を受け、木村の玉は中段で不安定な状況にさらされたが、最後に勝利をつかんだのは木村だった。

対局直後のインタビューで、木村が「難しくてわかりませんでした」と話すと、豊島も「難しかったと思うが、ちょっと間違えてしまったのかなと思う」。緊迫したギリギリの攻防が続いたとあって、共に疲労の色が見て取れた。

木村は6月、羽生善治九段を破って、王位戦の挑戦者に名乗りをあげた。過去6回のタイトル戦は全て敗れており、今回勝てば悲願の初タイトル獲得だ。豊島も名人を獲得するなど充実著しい。

その一方、両者は竜王戦でも勝ち進んだ。決勝トーナメントで、木村は前名人の佐藤天彦九段と永瀬拓矢叡王を連破。豊島は藤井聡太七段と、7月に棋聖を取られた渡辺明三冠に勝った。王位戦と併せ、結果的に「十番勝負」となった。

木村一基九段
木村一基九段

王位戦は、豊島が第1局と第2局を制したが、木村も負けていない。第3局で1勝を返すと、第4局は、双方の玉が入玉を果たす長期戦に。点数勝負になったが、駒が足りない豊島が投了を告げた。285手はタイトル戦では異例の長手数だ。木村は開幕前、「情けないけれど、ストレートで負けないようにというのが正直なところ」と控えめだったが、互角の戦いぶりを見せている。

8月だけで5度目の対戦となった第5局は、豊島が得意戦法の「角換わり」で勝ち、タイトル初防衛まであと1勝と迫った。第6局は9月9、10日にあるが、両者はその前に竜王戦の挑決第3局を控える。互いに譲れない大勝負は、佳境を迎えている。

■未開の戦型「相懸かり」が人気

将棋の戦型の流行には移り変わりがある。近年、プロ間では序盤で角を交換して戦う角換わりがブームだったが、トレンドが変わりつつある。

増加傾向にあるのが、初手から互いに飛車の先の歩を突き進める相懸かりだ。開始早々、飛車や角が飛び交う華々しい戦いになることもあるのが特徴。木村は最近、先手の時はこの戦型を多用しており、今回の豊島との対戦でも7局のうち4局で現れた。

序盤戦術に詳しい村山慈明七段は「相懸かりは、先手に主導権があり、先手の得を生かしやすいと考えられている」と話す。角換わりなどに比べて研究が進んでおらず、未開の分野である点も人気の一因と言えるようだ。

王位戦第4局では、先手の豊島が珍しく相懸かりを採用した。村山は「木村九段の対策を立てているうちに、自分もやってみたくなったのではないか」と分析している。(村瀬信也)

情報源:「十番勝負」いよいよ佳境 充実の豊島か、ベテラン木村か 王位戦と竜王戦挑決 将棋:朝日新聞デジタル



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