仏の漁師、英のEU離脱にやきもき 漁獲半減の恐れも:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年4月7日10時00分

漁師のセバスチャン・ルプレートルさん=ブーローニュシュルメール、疋田多揚撮影
漁師のセバスチャン・ルプレートルさん=ブーローニュシュルメール、疋田多揚撮影

英国がどういう条件で欧州連合(EU)から抜けるかに、海を挟んだフランスの漁師たちが気をもんでいる。英国がEUと何の合意もないまま抜ける事態となれば、豊かな海域を持つ英国周辺で、大陸側の漁師たちが操業できなくなるおそれがあるためだ。(ブーローニュシュルメール=疋田多揚)

仏最大の漁港を抱える北部ブーローニュシュルメール。対岸の英国まで、ドーバー海峡を挟み約50キロだ。

ここが拠点の漁師セバスチャン・ルプレートルさん(42)は全長24メートルの漁船に6人を雇い、ヤリイカやサバ、ヒメジなどをとってきた。「漁獲の半分が英国の排他的経済水域(EEZ)でとれる」と話す。

EUの決まりでは、加盟国の海岸から200カイリ(約370キロ)のEEZをEU共通の海と見なし、互いに操業できる。ドーバー海峡は回遊する魚群の通り道になる好漁場だという。仏メディアによると、EU全体の漁獲量のうち4割以上が英国の海域のものという。

英国がEUと昨年11月に結んだ合意に沿って円満に離脱できれば、20年末までは今のまま互いの海域で操業でき、その後については交渉で決めることになる。

だが、英国内の議論がまとまらないまま4月12日の離脱期限を迎えれば、合意は無効に。英国海域から他国の漁船が締め出されかねない。ルプレートルさんの漁獲は半分に減るおそれがあり、漁師の何人かは「クビにしなければいけない」という。

同港の漁協組合長のエリック・ゴスランさんによると、この港に揚がる魚の3分の2は、英国海域での操業によるものだ。港では水産加工施設や船の修理など、関連産業で約5千人が働き、影響はさらに広がる。「英国政治の混乱が原因だ。我々にはどうしようもない」と嘆く。

地図
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仏大統領は強気の姿勢

ドーバー海峡では昨夏、「英仏ホタテ戦争」が起きたばかりだ。漁期を自国で制限されている仏漁船が、資源の枯渇をおそれ、漁期の制限を受けない英漁船に石を投げつけるなど、同海域の水産資源をめぐる争いが表面化した。

マクロン仏大統領は3月末、ドーバー海峡付近の地元市議らとの会合で、漁業の行方を心配する声に「フランスは合意なき離脱に最も準備できている国だ」と誇った。合意なき離脱の際も英国の海域に引き続き漁ができるよう、「英国と対話を始めた」という。

「英国は欧州の国々なしに魚を加工できない」とも発言。魚の一部が仏に運ばれて加工されている英国の「依存状態」を指摘したものだ。「我々は武装解除していない」などと強気の姿勢もみせ、英国との交渉で妥協を引き出すという。

だが、EU加盟国が英国の海域で年間約70万トンの魚をとるのに対し、英国がEUの海域でとるのは約10万トン。不満をためた英国の漁師の大半は、海の「主権」を回復しようと、英国のEU離脱を支持してきており、フランスの求めに応じるかはわからない。

情報源:仏の漁師、英のEU離脱にやきもき 漁獲半減の恐れも:朝日新聞デジタル


へぇ・・・