猫・・・
太ってきたら知らせてくれるパンツや、診察が怖くなくなる白衣――。そんな仕掛けを生み出すユニークな研究組織が昨年、横浜市立大に誕生した。デザインの力でヘルスケアの課題を解決する「広告医学」を具現化していくという。
横浜市立大の医学部がある福浦キャンパス(横浜市金沢区)の先端医科学研究センター。この一角に昨年10月、「コミュニケーション・デザイン・センター」(YCU―CDC)が本格オープンした。デザインやアートを生かし、自然と健康になる仕掛けを作ったり、ネガティブに捉えられがちな病院のイメージを変える策を生み出したりすることがミッションだ。
たとえば、「いないいない白衣」。袖口から少しだけのぞく「耳」を持って袖を裏返すと、猫や犬などのワッペンが顔を出す。子どもが抱く「白衣=怖い」というイメージを変え、落ち着いて診療を受けられるようにと考えたものだ。
市販に向けて準備を進めている「アラートパンツ」は、ウエスト部分がメタボリックシンドロームの基準値である85センチ以上に伸びると色が変わって見える特殊な織り方の下着。普段は深緑色だが、太ってくると黄色に見えてくる。「やせよう」と自然に思わせるのを狙った製品だ。
長くて退屈な病院での時間を変える、待合室でのプロジェクトも。視力トレーニングになる画像を椅子に貼ったり、アーティストが作成した映像作品をロビーの壁や天井に投影したり。
こうした「広告医学」という考え方を提唱したのは、同大教授の武部貴則さん(32)だ。小学生のときに父親が脳卒中で倒れたことや、同大医学部に進学後、iPS細胞など治療費が高くなりがちな先端医療の研究を専門にしたことから、重い病気になる前に自然と健康的な行動が取れるよう、広告の手法を採り入れて啓発することを思いついたという。
同大医学部の助手時代から活動を始め、人の動きを感知するとその日の天気や気温が壁に映し出されて上りたくなる「健康階段」や、IDタグを付けた靴で各ポイントを回るラリーイベント「歩きたくなる靴」など、広告医学プロジェクトを、企業や横浜市と連携して行ってきた。こうした武部教授の活動を大学として支援しようと作られたのがYCU―CDCだ。
「医学部や付属病院の近くで活動しているため、医療現場が抱えてきた課題を投げ込んでもらいやすい」と、YCU―CDCの西井正造助教(46)。昨年は、「マスクをかけてくれる来院者が少ない」という同大付属病院の悩みを聞き、ウイルスのイラストを印刷したマスクを開発。何の感染を防ぐのかを視覚化し、かける人も、かけているのを見る人も、マスクの意義を捉えやすくした。
ほかにも、体重管理や禁煙を促す方法について、開業医や病院から相談が持ちかけられているという。「言われなくてもやってみたくなったり、周囲とのコミュニケーションの中で健康を意識したり。ただ呼びかけるのではなく、楽しみながら取り組める仕掛けを作っていけたら」と西井さんは話す。
情報源:白衣から猫、メタボひと目で分かるパンツ…広告医学の力(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:白衣から猫、メタボひと目で分かるパンツ…広告医学の力:朝日新聞デジタル
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