「警察官の主観で切符を切られる」仏教会が懸念 : 国内 : 読売新聞オンライン

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僧衣での運転摘発を巡る問題の経緯
僧衣での運転摘発を巡る問題の経緯

福井県内の40歳代の男性僧侶が昨年9月、僧衣での運転を理由に、県警に交通反則切符を切られた問題。違反は取り消される形で収束したが、政府はこうした摘発について統一基準を示さず、今後も各都道府県警の判断に委ねるという。全日本仏教会(東京)は「現場の警察官の主観で切符を切られる現状は変わらない」と懸念し、全国の僧侶に運転時の注意喚起を促す方針だ。一連の経緯を振り返る。(大川哲拓)

「切符の取り下げは非常に珍しい。違反を立証できる証拠がなかったからだ」

今月13日に京都市内で開かれた主要仏教宗派による全日本仏教会の会合。男性僧侶が所属する浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)の黒田修一・顧問弁護士は、一連の問題をこう報告した。会合は非公開で、17団体約40人の弁護士らを前に、摘発経緯が詳細に説明された。

男性は昨年9月、福井市の県道(通称・フェニックス通り)で僧衣を着て軽乗用車を運転。警官に制止を求められ、県規則が禁じた「操作に支障のある衣服」に当たるとして、交通反則切符(青切符)を切られた。男性は「今後、僧侶たちが僧衣で運転できなくなる」と危機感を覚え、反則金の支払いを拒んできた。

昨年末、読売新聞が初めてこの問題を報じた際、県警は取材に対し「僧衣が全て違反ではなく、状況による」と見解を説明していた。

年が明けてこの問題の報道が相次ぐと、県警は地元紙などに対し「男性はくるぶしまでの長さの『白衣はくえ』の上に、両袖の袖丈が約30センチの僧衣『布袍ふほう』を着用していた」などと「証拠」について詳細な説明を始めた。「両足が動かしにくく、とっさにブレーキ操作を的確にできない恐れや袖がシフトレバーなどに引っかかる恐れがあった」と具体的に何が支障になるかという見解も示した。

◆#僧衣でできるもん

県警に対し、全国の僧侶らはユニークな形で「反論」した。本紙の報道後、「#僧衣でできるもん」とのハッシュタグ(検索用ワード)付きで、僧衣姿で大道芸や縄跳びなどをする動画が次々とツイッター上で拡散した。

英BBCや米ワシントン・ポストなど、主要海外メディアも取り上げた。米CNNは「日本の僧侶は、自分たちの伝統衣装が運転にとって危険ではないことを示そうと、ジャグリング、ボクシング、スターウォーズの(剣形の武器の)ライトセーバーまで振るう動画を投稿している」と報じた。

◆一転した県警

国内外から批判が高まる中、県警は1月末になって「証拠の確保が不十分で、違反事実が認定できなかった」として、書類送検しないことを男性に伝えた。男性は当初から、摘発の際には、警察官から降車を求められることもなく、裾の長さなども測られていなかったと主張していた。

県警内でも、様々な意見がある。ある幹部は「現場の警察官は違反をでっち上げたわけではない」とかばうが、別の幹部は「『和服がダメ』というのは昔からの慣例だったが、今や時代遅れだ」と指摘する。

交通取り締まりの現場を抱える警察署の幹部は「いつか問題になると思っていた。基準があいまいなら、指導にとどめるべきだった」と断言した。

◆今も残る規定

政府は今月8日、僧衣や和服での運転が道路交通法違反にあたるかどうかについて、「個別に判断するべきで、一概に言えない。各都道府県警がそれぞれ適切に判断し、対応すべきだ」とする答弁書を閣議決定した。

本紙の調べでは、衣服に関する規定は、全国都道府県の約3割に当たる15県にある。都道府県ごとに規則を定める必要性について、警察庁は「地域の道路や交通の状況により、交通の安全を図るため」と説明する。

規定が撤廃されない以上、僧衣での運転を理由に僧侶が摘発される可能性は残されている。全日本仏教会の会合後、戸松義晴事務総長は、取材に対し、各宗派に僧侶の安全運転について注意喚起する考えを示した。

この問題に対応してきた浄土真宗本願寺派の黒田弁護士はこう話す。「規則は残った。だが、県警は今後、誰が見ても支障がある服装しか摘発できなくなるだろう」

情報源:「警察官の主観で切符を切られる」仏教会が懸念 : 国内 : 読売新聞オンライン



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