非正規雇用の条件を昔の基準に戻せばいい。
2019年2月10日 4時33分
全国の自治体で非正規公務員が急増する中、非正規という理由で労災にあたる「公務災害」の申請を請求できなかったケースがあり、去年7月、国が自治体に改善を求めました。NPOが調査した結果、規則を改正した自治体は少なくとも60に上り、改善の動きが広がっていますが、「職員への周知が不十分など課題が残る」と指摘しています。
総務省によりますと、全国の市町村と東京の23区で臨時や非常勤として働く非正規公務員は、2016年4月の時点で48万人余りで、全体のおよそ30%に上っています。
こうした中、北九州市の非常勤職員だった27歳の女性が4年前に自殺し、両親は「上司のパワハラなどが原因だ」と訴え労災にあたる「公務災害」の申請を請求しましたが、市は非常勤職員に関する条例を理由に、「本人や遺族には請求権がない」と回答し、現在、裁判で争われています。
東京のNPO、「官製ワーキングプア研究会」が調査した結果、去年4月の時点で少なくとも23の自治体が同じように請求を認めておらず、その背景には昭和40年代に国から示された方針に基づき各自治体で定めた条例や規則がありました。
このため総務省は、去年7月、全国の自治体に改善を求める通知を出しました。
NPOが都道府県や政令指定都市など154の自治体を対象に、去年12月時点での対応を調べたところ、回答した111の自治体のうち、北九州市を含めて60の自治体が規則を改正し、非常勤職員と遺族が公務災害の申請を請求できる権利を明文化しました。
さらに43の自治体が規則の改正に向けた手続きなどを進めています。
調査を行ったNPOの山下弘之理事は「こうした動きは評価できるが、規則を改正しても非正規職員への周知が不十分な自治体も多いと感じている。正規と非正規の間には給与や休暇などの格差もあり、改善をさらに進めていく必要がある」と話しています。
「非正規公務員」が急増 待遇は
全国の自治体で非常勤職員や臨時職員として働く「非正規公務員」は増え続けています。
NHKは全国の都道府県と市町村、それに東京都内の23の特別区について、総務省の統計データを情報公開請求で入手し、分析を行いました。
それによりますと、全国の市区町村で働く非正規公務員は2005年はおよそ34万3000人、職員全体に占める割合は20.7%でしたが、2016年は48万8000人余りと30.3%まで増えています。
非正規公務員の割合が50%を超える自治体は2005年は13でしたが、2016年は92となっていて、10年余りの間に7倍に急増しています。
役所での窓口業務や事務作業にあたる職員のほか、保育士や図書館職員などで非正規公務員が多くなっています。
各地の自治体にその理由を取材すると、厳しい財政状況での人件費の削減だけでなく、人手不足で正規職員の確保が難しいという声も聞かれました。
その一方で正規職員との間で待遇の差が課題となっています。
総務省によりますと、臨時や非常勤として働く「事務補助職員」がいる自治体のうち、法律ですべての労働者に認められる産前・産後休暇=いわゆる産休を制度として定めていないのは2016年4月の時点で、延べ750あり、全体の35%に上りました。
また、子どもがけがや病気をした際の「看護休暇」に関しては53%、「通勤交通費の支給」は33%の自治体が制度として定めていませんでした。
全国の自治体では再来年度=2020年度から「会計年度任用職員制度」と呼ばれる新たな制度が設けられることになっていてこれに合わせて国は「非正規公務員」の待遇改善に取り組むよう求めています。
情報源:非正規公務員に公務災害を認める動き広がる | NHKニュース
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