ほぉ・・・
2019年1月5日 19時15分
大阪市に住む小学4年生の仲邑菫(すみれ)さんが、ことし4月に史上最年少の10歳で囲碁のプロ棋士になることが決まりました。
日本棋院によりますと、大阪市に住む小学4年生の仲邑菫さん(9)は、5日に東京で開かれた理事会で「英才特別採用推薦棋士」に選ばれ、ことし4月1日からプロ棋士になることが正式に決まりました。
英才特別採用推薦棋士は、強豪国の中国や韓国勢に対抗できるトップ棋士を育成するため、日本棋院が新たに設けたもので、原則、小学生が対象で、選ばれるとプロ棋士になることができます。
仲邑さんは、これまでのアマチュア大会の成績などから推薦を受け、先月、井山裕太五冠や張栩名人ら6人のプロ棋士の審査を受けました。その結果、全員の賛成を得て、初の推薦棋士に選ばれました。
仲邑さんは、4月のプロ入りの時点では10歳0か月で、藤沢里菜女流三冠の11歳6か月を9年ぶりに更新し、史上最年少の囲碁のプロ棋士となります。
仲邑さんは3歳で囲碁を始め、7歳からは強豪国の韓国にもたびたび訪れ、囲碁を学んできました。
仲邑さんは「プロ棋士になれてうれしいです。世界で活躍できるようなプロになりたいです」と話しています。
父もプロ棋士の仲邑さん
仲邑菫さんは、大阪市に住む小学4年生です。仲邑さんは、父親がプロ棋士の仲邑信也九段で、3歳から囲碁を始め、アマチュアの大会で優勝するなど実績を積み重ねてきました。
さらに、7歳からは、強豪国の韓国にもたびたび訪れ、去年は韓国のプロ棋士からも指導を受けました。
仲邑さんが選ばれた「英才特別採用推薦棋士」は、強豪国の中国勢や韓国勢と対抗できるトップ棋士を育成するため、日本棋院が新たに設けたもので、原則として小学生を対象にしています。
仲邑さんは6日、東大阪市で井山裕太五冠と対局する予定です。
日本棋院 副理事長「プロの力備えている」
日本棋院の副理事長を務める小林覚九段は「従来の最年少記録を更新するのは大変なことだと思います。採用試験の対局では、名人を相手に引けを取らない堂々とした打ちっぷりで、精神力の強さや囲碁の内容もプロとしての力を備えていると感じました。最初は、勝ち負けにこだわらず、焦らずに成長してほしい」と話していました。
情報源:史上最年少の囲碁プロ棋士誕生へ 小学4年生 仲邑さん | NHKニュース
2019年1月5日14時38分
今春、日本囲碁界で史上最年少の10歳のプロ棋士が誕生する。大阪市此花区の小学4年生、仲邑菫(なかむらすみれ)さん(9)で、囲碁先進国の韓国で修業を積み、「世界一になる逸材」として、日本棋院が新設した小学生までの採用制度「英才特別推薦棋士」の第1号として迎えられる。
日本棋院が5日に発表した。菫さんは、4月1日付、10歳0カ月で日本棋院関西総本部(大阪市)の所属棋士になる。9年前、11歳6カ月でプロ入りした藤沢里菜女流本因坊(20)を抜く最年少記録となる。
プロ棋士の仲邑信也九段(45)と、囲碁の元インストラクターの幸(みゆき)さん(38)のひとりっ子。幸さんの手ほどきで3歳で碁を覚え、7歳から一家3人で韓国・ソウルに渡って修業。日本での義務教育履修のため日韓の往復生活を続けた。幸さんによると、菫さんはすぐに韓国語を覚え、両親の通訳にもなっているという。一昨年、現地の小学生低学年のチャンピオンに。昨年、韓国棋院のプロ候補生である研究生になった。
韓国で“囲碁漬け”の日々を送ってきた。平日は名門「韓鐘振(ハンジョンジン)囲碁道場」で、週末は韓国棋院で対局を重ねてきた。現地のプロ志望の子どもたちは朝、学校に顔を出すとすぐに道場に向かい、夕方まで囲碁の勉強をする子が多い。
「子どもたちの囲碁環境が日本と全く違う。あれを見て、菫が世界を狙うには韓国で勉強させなければと思った」と、父の信也九段が言う。根っからの負けず嫌いで、負けると大泣きする。その勝負魂が道場で高く評価されている。
道場を主宰する韓鐘振九段は「菫の才能は、現在の女流世界一である韓国の崔精(チェジョン)九段(22)に劣らない。むしろ上達のスピードは崔より速い。このままいけば女流の世界チャンピオンになるのはもちろん、男性のトップ棋士とも対等に戦えると思う」と話す。
先月、一家は日本に帰国。日本棋院は採用にあたって菫さんに張栩(ちょうう)名人(38)と対局させた。あらかじめ下手が盤上に石を置き、圧倒的に有利な状態で打ち始める「置碁(おきご)」ではなく、より互角に近い「黒番逆コミ」の手合で打ち、引き分けに持ち込んだ。「衝撃的でした。うわさには聞いていたが、想像以上にすごい子。小学生時代の井山(裕太五冠)さんと打ったことがあるが、当時の彼より上をいっている」と張名人は言う。
かつて世界最強だった日本囲碁界は、1990年代から中国や韓国に押され、2005年の張栩名人を最後に、世界メジャーのタイトルから遠ざかっている。危機感を持つ日本棋院は先月、将来の大器と見込む子どもはプロ試験を経ずとも採用する英才推薦制度を新設。その第1号として菫さんが候補に挙がり、張名人、井山裕太五冠(29)らタイトルホルダーと高尾紳路元名人(42)らナショナルチームのコーチがお墨付きを与えた。4月以降、菫さんをプロ棋戦に出場させて鍛え、世界タイトル奪還をめざす。
菫さんが尊敬し、目標とする棋士は、同じ関西の井山五冠。好物は焼き肉、キムチチゲ、好きな教科は体育、得意な教科はなし。この日、東京・市ケ谷の日本棋院本院で会見し、はにかみながら「これからよろしくお願いします」「がんばります」とあいさつ。囲碁の魅力について「勝ったときはうれしいです」「中学生のうちにタイトルを取りたいです」「井山先生みたいになりたいです」と、質問ごとに考え考え話していた。
同行した母の幸さんによると、「外面はいいんです。家では関西弁や韓国語でずっとしゃべり通し」。幸さんはアマ高段者の実力の持ち主だが、3歳で教えてから、娘との対局ではわざと負けて、勝つ喜びを味わわせることに気をつかった。囲碁に集中させるため、自宅にはテレビを入れていない。
英才制度の創設を主導した日本棋院副理事長の小林覚九段は「いまの日本の囲碁界は世界に遅れをとっている。これを打開するために、才能のある人は早くプロのステージに上げる必要がある。菫さんは期待に応えてくれる可能性が非常に高いと考えている」と話した。
韓国のプロ入り最年少記録は曺薫鉉(チョフンヒョン)九段(65)、中国は常昊(じょうこう)九段(42)。それぞれ9歳でプロ入りし、ともに世界チャンピオンとして大成している。(大出公二)