史上最年少の囲碁プロ棋士誕生へ 小学4年生 仲邑さん

囲碁の天才少女、10歳で最年少プロに 名人も手腕評価


2019年1月5日 20時16分(最終更新 1月5日 21時04分)

史上最年少のプロ棋士となることが決まり、父の仲邑信也九段(右)、母幸さん(左)と記者会見し、笑顔を見せる仲邑菫さん=東京都千代田区で2019年1月5日午後2時41分、小川昌宏撮影
史上最年少のプロ棋士となることが決まり、父の仲邑信也九段(右)、母幸さん(左)と記者会見し、笑顔を見せる仲邑菫さん=東京都千代田区で2019年1月5日午後2時41分、小川昌宏撮影

囲碁界に史上最年少の新星が登場した。小学4年生でプロ棋士の初段になることが決まった仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)。東京都千代田区の日本棋院であった記者会見では、質問への受け答えをよく考えながら、しっかりと前を向いて夢や目標を口にした。

菫さんは囲碁が身近にある環境で育った。父の仲邑信也九段(45)が自宅で囲碁の勉強をしていると、赤ん坊だった菫さんが近寄って碁石を触るので、抱っこしながら勉強を続けたという。3歳のとき、囲碁教室講師の経験があるアマ六段の母、幸(みゆき)さんがルールを教え、仲邑九段主宰の教室で、入門の子供たちと一緒に勉強を始めた。両親は菫さんについて「気が強く、負けず嫌い」と口をそろえる。菫さんも囲碁の楽しさについて「勝ったときがうれしい」と言い切る。

小学2年生の時、囲碁の勉強のため初めて韓国ソウルに渡り、2017年4月からは韓国のプロの道場で研さんを積んだ。幸さんとゲストハウスに長期滞在して道場に通い、囲碁漬けの毎日。韓国の学生全国大会の小学生低学年の部で優勝し、対局姿勢や才能が高く評価された。幸さんは「日本の9歳でこれだけ勉強時間を積み重ねた子はあまりいないと思う」と成長を見守っている。現在は毎日6~9時間、囲碁の勉強に打ち込む。

韓国ソウルの囲碁道場で勉強する仲邑菫さん=2018年11月(家族提供)
韓国ソウルの囲碁道場で勉強する仲邑菫さん=2018年11月(家族提供)

昨年末、菫さんと試験碁を打った張栩(ちょう・う)名人(38)は小学生時代の井山裕太5冠(29)と対戦した経験もある。「9歳でこれほど力を持つ子供は見たことがなく、井山さんより上をいく衝撃」と語った。

今年4月にプロデビューする菫さんは6日、東大阪市の囲碁イベントで井山5冠と記念対局をする。【新土居仁昌、最上聡】

◇日本棋院の年少入段(プロ入り)記録

入段時年齢 入段年

(1)仲邑 菫 10歳0カ月 2019

(2)藤沢里菜 11歳6カ月 2010

(3)趙 治勲 11歳9カ月 1968

(4)林 海峯 12歳10カ月 1955

(4)井山裕太 12歳10カ月 2002

※仲邑は「英才特別採用」、藤沢は「女流棋士特別採用」による入段

情報源:囲碁最年少棋士の仲邑さん、3歳から両親指導 張栩名人「衝撃、井山さんより上」 – 毎日新聞


2019年1月5日 21時56分(最終更新 1月5日 21時58分)

史上最年少のプロ棋士となることが決まり、父の仲邑信也九段(右)、母幸さん(左)と記者会見し、笑顔を見せる仲邑菫さん=東京都千代田区で2019年1月5日午後2時41分、小川昌宏撮影
史上最年少のプロ棋士となることが決まり、父の仲邑信也九段(右)、母幸さん(左)と記者会見し、笑顔を見せる仲邑菫さん=東京都千代田区で2019年1月5日午後2時41分、小川昌宏撮影

史上最年少の囲碁棋士になることが決まった仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)。5日の東京都千代田区の日本棋院での記者会見終了後、会場で改めて父の仲邑信也九段(45)、アマ強豪の母の幸(みゆき)さん(38)と共に、取材に応じた。グレーのワンピース、ピンクの髪飾りの菫さんは、左右の両親を見上げて相談しながらも、しっかりとした口調で質問に答えた。主な一問一答は次の通り。【最上聡】

――プロになった感想を

菫さん 頑張ります。

――いつごろからプロ棋士になりたいと思いましたか

菫さん はっきりと覚えていない。(それくらい、幼いころから?)はい。

――菫さんが最初に囲碁に興味をもったのは、どんな状況だったか覚えていますか?

幸さん いつも家で父(仲邑信也九段)が囲碁の勉強していて、気づいたら碁盤と碁石があり、お父さんが棋譜を並べているな、という感じで。私自身も囲碁ができるので、私が最初に娘と打ち始めました。

――実際に盤で打ち始めたのは?

幸さん 3歳になったときにルールを教えて、すぐに(狭い)9路盤で終局できるようになったので、これはできるな、と。それから毎日私が9路盤で何回も対局して、少しずつ打てるようになりました。

――学校で友達とどんな遊びをするのが好きですか?

菫さん ボール遊びなど、休み時間で外で遊ぶのが好き。

――菫さんはどんな性格のお子さんですか?

信也九段 とても気が強いと思います。

幸さん とても負けず嫌いで囲碁にはいいが、性格がきつすぎて(笑い)。

――お母さんを実力で抜いたのは?

幸さん 2年ほど前、ペア碁の大会があり、最初で最後と一度だけ、2人で出場して優勝したことがありました。そのときは(娘と)いい勝負かなと思っていたら、終わってから私が「変な手ばかりうつから腹が立った」と言われて(笑い)。1年半くらい前からは、ほとんど打つことはなくなりました。そのころには、抜かされていたのかな。

――囲碁の楽しさは?

菫さん 勝ったときが楽しく、うれしいです

――勉強にAI(人工知能)は使っていますか

信也九段 (対局後の)検討で使っています

――テレビは見ますか? 好きな番組などは?

幸さん 家にテレビはありません。埼玉から大阪に引っ越したときに置かないようになりました。碁の勉強するのにテレビは必要ないかな、と。

――1日何時間くらい囲碁の勉強をしていますか?

信也九段 学校に行っているときは1日6時間くらい、学校がないときは9時間くらいでしょうか。

――何歳までにタイトルを取りたいなどといった目標は?

菫さん 中学生のうちにタイトルを取りたい。

――将来の目標は。

菫さん 井山(裕太5冠)先生みたいな棋士になりたい。

情報源:「中学生でタイトル取りたい」仲邑菫さん一問一答 – 毎日新聞