無冠の羽生九段、輝き戻るか 立ちはだかる「壁」とは:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


竜王戦に敗れて額に手を当てる羽生善治前竜王=2018年12月21日午後7時26分、山口県下関市、堀英治撮影
竜王戦に敗れて額に手を当てる羽生善治前竜王=2018年12月21日午後7時26分、山口県下関市、堀英治撮影

将棋界の先頭を走り続けてきた羽生善治九段(48)が、27年ぶりに無冠になった。1991年から毎年、タイトルを取り続けてきたが、今年は広瀬章人竜王(31)ら年下の棋士たちに阻まれた。第一人者の不振の背景には何があるのか。

史上初の「七冠」や「永世名人」の資格獲得など、数々の偉業を成し遂げてきた羽生。広瀬を挑戦者に迎えた第31期竜王戦七番勝負は、史上初の「タイトル獲得通算100期」がかかっていた。

羽生が開幕から2連勝したが、3勝3敗となり、決着は最終第7局に持ち越された。中盤以降、劣勢になった羽生は21日午後6時49分、「負けました」と告げた。虎の子のタイトルを手放した瞬間だった。

広瀬は8年ぶり2期目のタイトル獲得。対局後、「内容は押され気味だった。4勝できたのは運が良かった」。羽生とはこれまで2度、タイトル戦で戦ったが、いずれも敗れていた。今回の勝利は、過去の苦い経験が生きたようだ。

一夜明けた22日朝の新竜王への記者会見では、第5局で羽生が指した「▲7一金打」という手への印象を問う質問が飛んだ。観戦していた棋士たちが驚きの声を上げた手だが、広瀬は想定していた。「羽生さんは、指しにくい手を読みを入れて指してくる。それが、対戦を重ねてわかってきた」。この将棋は羽生が勝ったが、羽生との対戦を経て、手を読む幅を広げたことをうかがわせた。

広瀬を始めとする30歳前後の棋士たちは層が厚い。羽生が今年、名人戦で敗れた佐藤天彦名人(30)、棋聖戦でタイトルを取られた豊島将之二冠(28)もこの世代だ。羽生の今期の成績はここまで21勝20敗だが、そのうち15敗はこの3人に喫している。

広瀬は取材に対し、「羽生さんの100期目前で佐藤名人と豊島挑戦者が阻止したので、刺激になった」と振り返った。身近な棋士との激しい競争が、それぞれの実力とモチベーションのアップにつながったとも言える。

一方、羽生はタイトル奪還を目指して再起を図ることになった。立ちはだかるのは、こうした棋士たちだけではない。年齢面の「壁」も越える必要がある。過去の名棋士たちは、40代半ば以降、成績を落とす例が多い。

中原誠十六世名人(71)は、45歳で名人を奪われて無冠になり、その後タイトルを取れなかった。「その頃から、頭の中に映る将棋盤の映像が暗くなった。引退したから言えるが、当時は誰にも言わなかった」と振り返る。

50代以降でも第一線で戦い続けた棋士はいる。代表的な存在が、大山康晴十五世名人(故人)だ。59歳でのタイトル獲得は最年長記録で、今も破られていない。中原は「羽生さんも自分の変化に慣れれば、復活する可能性は十分ある」とみる。

羽生は昨年12月、竜王を獲得して史上初の「永世七冠」を達成した際の会見で、こう語っている。

「一局の対局をすることについては変化はないが、たくさんの対局をこなして全般的に高いパフォーマンスを保つのは難しくなっている。これからの課題だと思う」(村瀬信也)

情報源:無冠の羽生九段、輝き戻るか 立ちはだかる「壁」とは:朝日新聞デジタル


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