ほぉ・・・
細胞リプログラミング技術を使って、大ケガやヤケドをして皮膚が大きく損傷したとしてもキレイな状態に治すことができるという研究結果が、ソーク研究所の生物学者であるファン・カルロス・イスピスア・ベルモンテ氏らの研究チームによって報告されました。
In vivo reprogramming of wound-resident cells generates skin epithelial tissue | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0477-4Severe skin wounds regenerated, in mice, in Salk Institute-led study – The San Diego Union-Tribune
http://www.sandiegouniontribune.com/business/biotech/sd-me-salk-skin-regeneration-belmonte-20180905-story.html皮膚組織が大きく失われるような重度のケガをして潰瘍になったり、大ヤケドをしたりした場合には皮膚を元の状態に戻すための細胞も失われてしまいます。一般的な治療では縫合で傷口にウイルスが侵入しないようにしますが、このように大きな損傷がある場合は治療を行うと傷口が瘢痕となり、違和感のないキレイな状態にはなかなか戻りません。また、イスピスア・ベルモンテ氏は「皮膚移植などの治療も完璧ではない」と語っており、2018年時点の治療法でキレイな状態に戻すのは非常に難しいとしています。
手術で移植された器官が本来の機能を果たすことを生着と呼びますが、研究チームは「皮膚が体内で再生される生着を行えばキレイな状態に戻るはずだ」と考えて、細胞リプログラミング技術を利用することにしました。細胞リプログラミング技術は2007年に実証された技術で、リプログラミング因子と呼ばれるタンパク質やRNAを作る遺伝子を使用することで細胞を胚形成期の状態に戻すことができるというものです。
しかし、リプログラミングを行うには、事前に皮膚を作り出す細胞のもととなる人工多能性幹細胞が何であるかを特定しておかないといけません。そこで、イスピスア・ベルモンテ氏と研究員の栗田昌和氏が調査を行って、リプログラミング技術で生成すべき幹細胞である「基底ケラチノサイト」を発見しました。
研究チームが86ものリプログラミング因子からさまざまな組み合わせを試験した結果、基底ケラチノサイトを作り出す4つの遺伝子を見つけ出すことに成功。マウスの潰瘍に4つの遺伝子を直接塗布し、3カ月目と6カ月目にマウスの状態を検査したところ、塗布した部分が皮膚と同じように機能していたことが確認され、瘢痕もなく非常にキレイな状態で皮膚が作られていたことが明らかになりました。
この研究で発見された遺伝子の1つは「がん」を引き起こす可能性があると知られています。このため、人への適用の前にさまざまな動物などで長期間実験を行って安全性を実証する必要があり、実際の治療に導入されるには時間がかかるとのことです。
情報源:細胞リプログラミングを使って大ケガをしても「皮膚をキレイな状態に治すことができる」との研究結果 – GIGAZINE
へぇ・・・