へぇ・・・
5歳で将棋を覚えた藤井聡太(そうた)七段(16)が、それより前から夢中なものがある。鉄道だ。
「小さい頃、よく近所の踏切で1時間ぐらい抱っこをして電車を見せていました。帰ろうとすると嫌がるんです。重くて大変でしたね」
聡太の母方の祖母・清水育子(76)はそう振り返る。自宅でプラレールの線路をつなげて大喜びしたり、電車の先頭車両に乗って運転士の気分になったり。鉄道好きを示すエピソードは、枚挙にいとまがない。
小学4年で棋士養成機関「奨励会(しょうれいかい)」に入ると、月に2回、新幹線と電車を乗り継いで、例会が開かれる大阪まで通う日々が始まった。愛知県瀬戸市の自宅から大阪市の関西将棋会館まで約2時間20分の道のり。中学に進学すると1人で行くようになった。
プロ入り後、行動範囲はさらに広がった。公式戦のほとんどが大阪か東京であるため、毎週のように愛知から出向く。忙しい日々を送る聡太のささやかな息抜きが、「各駅停車の旅」だ。
「いつもと違う所に違う電車で行くと、新たな発見があって面白いです。東京での対局の後、中央線に乗って長野経由で愛知に帰ったこともあります」
今月初めには、友人と2人で山梨、長野両県に向かった。JR小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」(ハイレール)に乗るためだ。
「青春18きっぷ」で小淵沢駅(山梨県北杜市)に向かい、ハイレールで佐久平駅(長野県佐久市)へ。「高原地帯なので、景色が良くて楽しめました」。その後は北陸新幹線で長野駅(長野市)を経由し、やはり各駅停車で愛知県に戻った。行程約14時間の日帰りの旅だった。
道中では、「藤井さんですか?」と声をかけられることもあった。
「そういう時は、うれしさと恥ずかしさと半々ぐらいの気持ちですね」=敬称略(村瀬信也)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)修業編:7 鉄道好き、公式戦帰りに各駅停車の旅:朝日新聞デジタル
ほぉ・・・