ほぉ・・・
2015年3月29日。中学進学を控えた藤井聡太(そうた)現七段(16)が、JR新大阪駅近くの公共施設に姿を見せた。「第12回詰将棋(つめしょうぎ)解答選手権」に参加するためだ。
玉将を捕まえる手順を考える「詰将棋」をいかに速く、正確に解けるかを競う。この日、開かれたのは最上位クラスの「チャンピオン戦」。東京の会場も含めて、棋士や一般の将棋ファンら86人が挑んだ。聡太は当時12歳。だが、桁外れの読みの速さで周囲の度肝を抜いた。
詰将棋の創作も手がける北浜健介八段(42)は、聡太の1列後ろに座っていた。「始まって数分で鉛筆の音が聞こえてきて、『ああ、もう1問目が解けたんだな』と思いました」
難解な37手詰めも出された第1ラウンド(R)の5問を、90分の制限時間内に全て解いたのは聡太だけ。第2Rも90分のうち21分を残して5問とも正解。ただ1人の100点満点で初優勝を遂げた。12歳での優勝は最年少記録だった。
北浜は「第2Rの後、本人から『半分ぐらいの時間は見直しに費やしている』と聞いて、驚きました。神業としか言いようがない速さです」と述懐する。
詰将棋は将棋の上達法の一つだが、詰将棋を解くことや創作そのものを楽しむ「詰(つめ)キスト」と呼ばれる人たちもいる。プロをしのぐアマも少なくない。プロ入り前の聡太は既に一流の詰キストだった。
詰将棋の創作でも才能を発揮した。小5の時に専門誌「詰将棋パラダイス」に29手詰めを投稿し、入選。その後も、優れた作品を発表した。ただ、師匠の杉本昌隆七段(49)は、少し気になることがあった。「創作に熱中すると、将棋にかける時間が少なくなるかもしれない」
詰将棋作家としても著名な谷川浩司九段(56)に相談したところ同意したため、聡太が小6の頃、杉本は「創作は、ほどほどにした方がいいのでは」と声をかけた。聡太は将棋に専念するようになった。=敬称略(村瀬信也)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)修業編:6 詰将棋選手権、最年少12歳で満点V:朝日新聞デジタル
これは有名な話。