将棋ファンはなぜ「ソフトの方が強い」と決まった後でも棋士同士の戦いに感動するのか

将棋ファンはなぜ「ソフトの方が強い」と決まった後でも棋士同士の戦いに感動するのか | AbemaTIMES

ふむ・・・


将棋界において2017年5月、1つの明確な結果が示された。「将棋ソフトは名人より強い」。棋士とソフト(AI)が戦う第2期電王戦は、佐藤天彦名人(30)がPONANZAに2連敗を喫して終了した。他の棋士ではなく名人の完敗。これで棋士とソフトの対決企画にも終止符が打たれた。だが、今なおファンは棋士同士の戦いに感動し続けている。これはなぜなのか。それには羽生善治竜王(47)、藤井聡太七段(16)という2人の存在が大きく関わっているようだ。

将棋ファンはなぜ「ソフトの方が強い」と決まった後でも棋士同士の戦いに感動するのか
将棋ファンはなぜ「ソフトの方が強い」と決まった後でも棋士同士の戦いに感動するのか

まず羽生竜王だ。第2期電王戦への出場権をかけた叡王戦では、準決勝で佐藤名人に敗れた。これにより、羽生竜王がソフトと公の場で対決する姿を見ることは叶わなかった。ところが、この結果に内心「ホッとした」というファンがいたことも事実だ。史上初の七冠独占に永世七冠、タイトル通算99期など、数々の偉業を達成してきたレジェンドが、もし大注目の中でソフトに敗れたらどうなるか。ある棋士は「みんなどこかで『羽生さんなら勝てるかも』という思いが残っている。だから、これでよかったと思えるところもあります」と語った。勝負事だけに、やってみないことにはわからない。とはいえ、羽生竜王とはいえ現在のソフトに勝つのは、容易ではないことも事実だ。今や“幻の対局”になった形だが、幻のままであることがファンにとって、いい方向に作用した部分が生まれた。

そして藤井七段だ。6月5日の対局で指した「7七同飛成」は、その直後から“AI超え”をした神の一手として大きな話題になった。対局後の「現状、最近のソフトが大変強いことは言うまでもないことですけれども、部分的には人間の方が深く読める局面もあると個人的には考えていたので、それが現れたのかなと思います」というコメントも、どこかで「ソフトに負けるな!」と願っているファンたちの心を爽快にしたのは、言うまでもない。人間の可能性はソフトを凌駕する。そんな願いを天才少年が叶えてくれたからだ。

この新旧2人の天才棋士は、まさに人間離れした指し手を見せつつ、一方で実に人間らしい仕草を見せながら指していく。羽生竜王なら実に悩ましい表情を見せ、髪をかきあげ、勝機が見えると手も震える。藤井七段も集中力が高まるにつれて、盤に重なるほど前傾し姿勢が深くのめり込み、敗色濃厚となるとまさに“がっくり”と肩を落とす。人と人との真剣勝負でしか生まれない魂の削り合いに、見る人の心も揺さぶられている。

ここでおもしろいのが、この2人だけでなく多くの棋士が、ソフトを活用することで、より高度な将棋を生み出している点だ。棋士とソフトの対決には結論が出たが、今度は「ソフトを使うと人はどこまで強くなれるのか」という新たなステージに入っている。スポーツ選手が近代的なトレーニングマシンを使うようになり、速く走り、高く跳び、速い球を投げるようになった。かつては体格負けしていた日本人選手が、コンピューターによる分析・解析を積極的に取り入れ、効率的かつ効果的にトレーニングした結果、海外の選手とぶつかっても負けないようになったことに似ている。藤井七段のAI超えの一手も、ソフトでの研究を重ねたからこそ、生まれたのかもしれない。

誰もがソフトと同じような手を指すのでは、ファンの心は躍らない。ソフトで得た知識をもとにベースアップし、そこから出てくる次なる神の一手、それを生み出そうと必死に悩み、震える姿にファンは感動する。棋士はどこまで高みに近づけるのか。今はそんな進化の過程のど真ん中だ。

情報源:将棋ファンはなぜ「ソフトの方が強い」と決まった後でも棋士同士の戦いに感動するのか(AbemaTIMES) – Yahoo!ニュース

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車やバイクがあってもマラソンや短距離走が無くならないのと同じ。