アルコール性消毒液への耐性が10倍になった細菌があることが判明 – GIGAZINE

ほぉ・・・



by Piron Guillaume

世界中の病院で、感染症を防ぐためにアルコール性の消毒液が利用されています。ところが本来はこの消毒液で押さえ込めるはずのバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の「エンテロコッカス・フェシウム」による感染症が増加しており、メルボルン大学などの研究チームが調べたところ、以前と比べてアルコールへの耐性が10倍以上になっていることがわかりました。

Increasing tolerance of hospital Enterococcus faecium to handwash alcohols | Science Translational Medicine
http://stm.sciencemag.org/content/10/452/eaar6115

Bacteria becoming resistant to hospital disinfectants, warn scientists | Society | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2018/aug/01/bacteria-becoming-resistant-to-hospital-disinfectants-warn-scientists

研究チームは、1997年から2015年のあいだにメルボルンの2つの病院から収集された「エンテロコッカス・フェシウム」のサンプル139件を消毒液としてよく使われるイソプロパノール溶液に5分間浸しました。

その結果、2010年以降のものについては、以前に比べてアルコール耐性が10倍になっていることがわかりました。

ただ、この実験時のイソプロパノール溶液は病院で消毒液として使われるものより濃度が薄かったため、研究チームは別の再実験を実施しました。

再実験では4つのケージを用意。2つのケージにはアルコール耐性が弱い「エンテロコッカス・フェシウム」を、2つのケージにはアルコール耐性が強くなった「エンテロコッカス・フェシウム」を拡散。その後、病院で使う濃さの消毒液で拭き掃除を行い、マウスを1時間ほど放ちました。そして、1週間後にマウスの腸内を確認しました。結果、やはりアルコール耐性が強くなった「エンテロコッカス・フェシウム」は、消毒液による拭き掃除でも除去しきれず、マウスの腸内に入り込んでいたことがわかりました。

調査では、遺伝子変化によって、「エンテロコッカス・フェシウム」が耐性を強めるように進化していることが示唆されています。

メルボルン大学ピーター・ドハティ伝染・免疫研究所の所長を務めるティモシー・スティニア教授は、「これは世界各地の感染症管理チームに対する警告です。VREの発生を管理するためには、アルコール性消毒液に頼る以上のことをしなければなりません」と語りました。

情報源:アルコール性消毒液への耐性が10倍になった細菌があることが判明 – GIGAZINE


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