藤井七段、止まらぬ進化 タイトル挑戦へ、あと2勝:朝日新聞デジタル

勝てば次があるからな。


王座戦準々決勝で勝利した藤井聡太七段=6月22日
王座戦準々決勝で勝利した藤井聡太七段=6月22日

将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(15)が、史上最年少記録を更新する初のタイトル戦出場に近づいている。王座戦挑戦まであと2勝と迫り、ほかの棋戦でも快進撃が続く。6月の対局では「人工知能(AI)を超えた」と話題になる手を指すなど、その戦いぶりもすごみを増している。名実ともに一流棋士の仲間入りを果たそうとしている。

「意識しても仕方がない。次も今まで通りに指したい」。6月22日、王座戦挑戦者決定トーナメント準々決勝で勝った藤井七段は、挑戦権獲得にあと2勝と迫ったことについて問われ、落ち着いた表情で話した。

この日の相手は深浦康市九段(46)。昨年12月に逆転負けしたが、今回はリードを奪ってそのまま押し切った。今月6日の準決勝、その後の決勝に勝てば、中村太地(たいち)王座(30)への挑戦が決まる。タイトル挑戦の史上最年少記録は、屋敷伸之九段(46)が1989年に作った17歳10カ月。記録更新の期待もかかる。

先手が▲7七歩と打った局面。ここで△7七同飛成が妙手。▲同金に、金取りとなる△8五桂で攻めがつながった
先手が▲7七歩と打った局面。ここで△7七同飛成が妙手。▲同金に、金取りとなる△8五桂で攻めがつながった

<AI超えた飛車切り> 「藤井将棋」は内容面でも注目を集める。6月5日。将棋の歴史に残る妙手が大舞台で飛び出した。

第31期竜王戦(読売新聞社主催)の挑戦者を決める決勝トーナメント進出をかけた一戦。終盤戦で石田直裕五段(29)が、▲7七歩と飛車取りに歩を打ったのが図の局面だ。

藤井七段の次の手は、△7七同飛成。攻めの主力である飛車を、価値が低い相手の歩と交換してしまう驚きの一手だ。リスクは極めて高いが、相手玉を次に詰ます「詰めろ」の状態が続く。この手が奏功し、藤井七段が攻め合いを制した。

藤井七段は、持ち時間を使わずにこの手を指した。元々予定していた手だったことがわかる。羽生善治竜王(47)は「かなり前の局面から読んでいた印象を受けた。昨今の充実ぶりを感じた」と話す。

この藤井七段の読みは、AIを搭載した将棋ソフトを上回ったことでも話題になった。ソフトに詳しい遠山雄亮(ゆうすけ)六段(38)によると、AIでも、△7七同飛成は直前の局面にならないと読めなかったという。「AIは手を幅広く読める。人間はその点では劣るが、無駄な読みを省けるので、読みの深さでは勝ることもある。藤井七段はそれを証明した」

藤井七段自身は後日、こう語っている。「AIは強いが、部分的には人間の方が深く読める局面があると感じていた。それが現れたのかな、と思う」。長所、短所を的確に把握した上で、AIをうまく活用していることをうかがわせる。

<ポジショナルプレー> 藤井七段は終盤だけではなく、序中盤の指し手でも棋士たちをうならせている。野月浩貴(ひろたか)八段(45)は、サッカーの選手一人一人がいい位置を確保することを意識して戦う「ポジショナルプレー」という概念を例に挙げて、こう分析する。「藤井七段は、盤面全体を見ていい位置に駒を配置するのがうまい。だから、仮に相手に攻められても、柔軟に対応できる。これまでの将棋とは違う」

昨年は持ち時間が少ない局面で慌てる場面も見られたが、それが減ってきたとみる。「あの強さでさらに成長できるのがすごい。いつタイトル戦に出てもおかしくない」(村瀬信也)

■今年度は10勝1敗

藤井七段は朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で優勝し、勝率1位となった昨年度に続き、今年度も10勝1敗(未放映のテレビ対局を除く)と好調だ。

将棋界には名人、竜王など八つのタイトルがある。藤井七段が、最も挑戦に近づいている王座戦では、6日の準決勝で斎藤慎太郎七段(25)と対戦。勝てば、渡辺明棋王(34)―永瀬拓矢七段(25)戦の勝者との決勝戦となる。

棋王戦では2年連続で挑戦者決定トーナメントに進出。竜王戦は既に敗退したが、2年連続で決勝トーナメント進出を果たした。

名人戦につながる第77期C級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)では3日、初戦を白星で飾った。

情報源:藤井七段、止まらぬ進化 タイトル挑戦へ、あと2勝:朝日新聞デジタル



ふむ・・・