順位戦
2023.3/18 15:00
先週から今週にかけて、注目の対局がめじろ押しとなっていた。
一番の注目は、藤井聡太王将が羽生善治九段の挑戦を退け、初防衛に成功したことであろう。
これに関しては、同時に進行している棋王戦とともに、次週に取り上げる。
先週はC級2組を除く、順位戦の最終一斉対局が行われた。
まず7日のC級1組では、近年珍しい異変が起きた。9連勝でトップを走っていた伊藤匠五段が阪口悟六段に敗れ、9勝1敗となったが、8勝組の石井健太郎六段、青嶋未来六段、渡辺和史五段(現六段)の3人がすべて勝ち、順位の差で伊藤が昇級を逃したのだった。
正直、B級2組以下では、昇級候補と降級候補が戦って下位者が勝ち、他力で昇級者が出ることはまずない。勢いが違うのだ。
そういうことが起こるのは、一期で落ちる(降級点のない)AとB1だけというのが通例だった。
もっともこの勝負は、阪口も敗れれば降級点という一番だったから、相手にいくら勢いがあっても譲れない一番だった。
実際阪口は降級点7名のこのクラスで、下から8番目となり、見事降級点を逃れた。順位戦はこういうことがあるから、恐ろしい。
伊藤が敗れたことで昇級できたのは、前述の渡辺だ。順位の差はわずか2枚。その2枚の差は、昨年度C2から上がったときに付いたもので、伊藤はC2、C1と上がって1年目に9勝1敗を2年続けてきたから、順位が常に下なのは仕方がない。
もっとも伊藤はまだ若いから、最後のチャンスを逃したわけではない。早く気を取り直して、次期に備えたい。
8日のB級2組は以前書いたように、9回戦で大橋貴洸七段、増田康宏七段と、最後不戦勝が決まっていた、木村一基九段の3人が昇級。木村以外の2人は、最終局に敗れての昇級で、全員戦って勝たずに昇級は珍しい。
9日のB級1組は、屋敷伸之九段に勝った佐々木勇気七段(現八段)と、最後羽生善治九段に敗れた中村太地七段(同)が、共に9勝3敗で新A級の座を射止めた。
佐々木は藤井聡太四段(当時)の連勝記録を29で止めたことで有名になった。
中村は羽生から王座を奪ったこともあり、もう少し早くA級まで行くかと思われていたが、今回ようやく思いを遂げた。
ただし来期の順位は佐々木の方が上になるが、これが響くかどうかだ。新A級2人が入り、さらに若返った来期のA級は、かなり厳しい戦いになると思われる。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】A級順位戦若返り 藤井聡太の連勝記録を29で止めた佐々木勇気、中村太地の昇級で厳しさ増す(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
ほぉ・・・
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