羽生善治九段
2023年1月5日 05:30
令和の天才VS平成の怪物 王将戦8日開幕(1)
世紀の対決まで、あと3日。藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=に羽生善治九段(52)が挑む将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負の開幕が近づいてきた。「歴史を築いてきた男VS歴史を塗り替える男」のタイトル戦初対決。列島が注目する2人を多角的に比較していく。
31歳295日の年齢差がある2人。タイトル戦では40歳差が記録だが、今カードも世代間のギャップはたっぷりと存在している。対局時のアイテムが対照的だ。藤井が持ち込むのは小型のデジタル電波時計。時刻に加え室内の気温や湿度まで表示するという。対局場の環境を正確な数字で示すガジェットの指標が、藤井の脳内コンピューターを動かす指針となっている。
対する羽生が愛用するのは、普段使いの機械式腕時計だ。正確さではクオーツや電波時計に遠く及ばない。それでも芸術的な工業製品として人気が高いもので、羽生は「なんかデジタル的な時計はあまり好きではないんです」と話している。
片や0・1秒の誤差さえ許さない最先端グッズ。片や趣味の世界のアクセサリー。「デジタル」対「アナログ」という、ありきたりな対立構造が成立しているように見える。
すでに知られている通り、藤井は「AIの申し子」とも言うべき存在だ。プロ入り前からソフトでの研究を開始。高スペックのパソコンを自作し、棋譜の分析に余念がない。昨秋にはコンピューター関連メーカーのAMDと広告契約を締結。年末には同社の最新部品が搭載されたパソコンの提供を受けている。ただでさえ強い王将が、「鬼に金棒」を得たと評判にもなった。
一方で羽生。時計はぜんまい仕掛け。自らを「古いタイプの棋士かもしれない」と評するほどだが、人工知能(AI)に関するトークショーなどでは専門の大学教授と対等に渡り合うほどの知識を持つ。7年前にはテレビ番組の企画で欧州に出向き、AIの最前線を英語を駆使して取材したほどだ。3、4年前からは将棋の研究にも本格導入。「ある局面で最善手はこれ、と教えてくれるが、次の日は別の手に変わっていたりする。いったいどうなっているんだか」と苦笑いするものの、裏を返せば相当な使い手だということだ。
「AIの出した評価値に対し、なぜこの手がいいと示すのかを常に考えている」と藤井が語れば、羽生も「AIの示す手を丸暗記するというより、それをステップに全体像を理解する、消化するのが大事」と同調する。つまり根本的には共通項が存在する2人。「デジタル」VS「アナログ」という単純図式ではなく、「デジタル」VS「アナログの皮をまとったデジタル」が今シリーズの対決構図になるのだろう。(我満 晴朗)
情報源:羽生九段、アナログ時計愛しつつ…AI本格導入 欧州で取材も デジタルの申し子は藤井王将だけじゃない― スポニチ Sponichi Annex 芸能
羽生九段、アナログ時計愛しつつ…AI本格導入 欧州で取材も デジタルの申し子は藤井王将だけじゃないhttps://t.co/1tHPlsWaKP
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藤井聡太王将-羽生善治九段(毎日新聞・スポニチ)
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