王将リーグで藤井王将への挑戦を決めた羽生九段=11月22日、東京都渋谷区の将棋会館

【勝負師たちの系譜】羽生善治九段〝タイトル100期〟の大記録を賭け藤井聡太五冠と激突 王将戦七番勝負|zakzak:夕刊フジ公式サイト

王将戦


2022.12/3 15:00

王将リーグで藤井王将への挑戦を決めた羽生九段=11月22日、東京都渋谷区の将棋会館
王将リーグで藤井王将への挑戦を決めた羽生九段=11月22日、東京都渋谷区の将棋会館

いつの時代も世代交代の時には、それまでの王者と新王者が激しくぶつかるものである。

かつては木村義雄十四世名人が、大山康晴十五世名人に名人戦で敗れて引退。その大山も次世代の中原誠十六世名人に、直接名人位を奪われた。

ただし中原は次の王者である羽生善治九段と、ついにタイトル戦を戦うことはなかった。最後に名人を奪われた相手が、先輩の米長邦雄永世棋聖だったことも、一因である。

一度第53期名人戦で、当時の羽生名人に挑戦するプレーオフを森下卓九段と戦ったが敗れ、他の棋戦でもチャンスはなかった。

そして羽生は、同年代に森内俊之九段、佐藤康光九段らのライバルがいて、タイトルを奪ったり奪われたりした上に、羽生が長く活躍したことで、多くの俊英に挑戦されることとなった。

この数年の間に羽生からタイトルを奪った棋士は、佐藤天彦九段(名人)、広瀬章人八段(竜王)、菅井竜也八段(王位)、中村太地七段(王座)、豊島将之九段(棋聖)と多彩で、一人の天才に敗れたのでなく、羽生もさすがに年を取って下降線となったと思われてきた。

それらの俊英を破った藤井聡太五冠と羽生は、戦うには年が離れ過ぎていて、この2人の対決は実現しないだろうと思われていた。

しかしあれだけの実績を誇る羽生にも、盤上でただ一つやり残したことがあった。言わずと知れた、タイトル100期の大記録だ。

99でも大記録に違いはないが、やはり大台に乗るかどうかは、世間的にはインパクトが違う。

100期を賭けたタイトル挑戦の機会が、今回の王将戦リーグだった。王将リーグは、7人しか入れない超難関リーグで、しかも3人が降級というもの。

今期は渡辺明名人が降級となったくらいで、誰が挑戦者となるか想像のつかないリーグを、羽生は6戦全勝で挑戦権を得た。

最終局は、豊島将之九段との一戦で、羽生が敗れれば再度豊島とのプレーオフという一戦を、羽生は完勝の形で勝利した。

この将棋は角交換腰掛銀の出だしから、羽生がいきなり仕掛けたのだが、迎え撃つ豊島がわざと銀を捨てて抑え込みに行ったところ、それが読み抜けで、銀をただ取られただけに終わったのだった。

運と実力を兼ね備えた羽生が、藤井相手にどんな将棋を見せるか楽しみな七番勝負は、来年1月8、9日、静岡県掛川市から始まる。

■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

情報源:【勝負師たちの系譜】羽生善治九段〝タイトル100期〟の大記録を賭け藤井聡太五冠と激突 王将戦七番勝負(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

将棋から学んできたこと これからの道を歩く君へ【電子書籍】[ 羽生善治 ]
価格:650円(税別、送料別)(2022/12/4時点)

 

楽天で購入