女性棋士誕生なるか
2022.7/17 10:00
本欄でも伝えたが、里見香奈女流四冠が5月に「棋王戦コナミグループ杯」で古森悠太五段に勝ち、棋士編入試験を受ける権利を得てからというもの、その動向が注目されていた。
公式戦で一定の成績を挙げた人(アマチュア・女流棋士)は、申請すれば新四段と5局指し、3勝すればフリークラスのプロ棋士(四段)になれるというもの。今回里見はその権利を行使すると宣言し、話題を呼んだ。
「プロ棋士の試験と言うけど、里見さんはプロではないのですか」と聞かれたことがある。
里見は女流棋士というプロで、現在64人(日本将棋連盟所属の現役)いる女流棋士の、トップに位置している。
これとは別に、男性棋士は基本、奨励会の三段リーグを抜け、四段になった者をプロ棋士と呼び、8つのタイトル戦やトーナメント棋戦に出場できる。
この奨励会からの四段に過去、大勢の女性が挑んだ(里見も)が、三段リーグを抜けた女性は一人もいない。
大昔の花村元司九段(付け出し五段の試験を合格)を別にすれば、試験で棋士になった人は瀬川晶司六段、今泉健司五段、折田翔吾四段の3人。
特に最初の瀬川の時は試験の制度がなく、反対派を抑えての米長邦雄会長(当時)の決断だった。
最初は6局指して、3勝したら合格というもの。数字的には合格の確率は6割以上だった。
しかし試験官の一番手、佐藤天彦三段(当時)は、三段リーグで2回次点を取ってフリークラスの権利を得ながら、これを蹴って奨励会に残ったという猛者で、意地を見せて瀬川を打ち負かしたのだった。
しかしその後、瀬川は3勝1敗の成績を取り、見事61年ぶりに試験でのプロ入りを果たした。
その後は5局指して3勝(これが確率5割)のルールが確立されたが、後に続いた今泉、折田はどちらも3勝1敗で試験に合格して棋士となった。
里見はどうなるかだが、プロ筋では「五分五分ではないか」の予想。新四段から5人が試験官で、相手はバリバリの若手だが、試験官にとっては公式戦でなく、単なる仕事だ。
これが気の緩みとなるか、逆に伸び伸び指せ、里見だけが緊張していたなら、悪い方の目が出るだろう。
要は里見の気の持ちよう一つと言える。
幸い里見は、強い人と指したいという気持ちでの決断と言うから、いい目が出るのを期待したい。
8月から月に1局ずつの対局というから、興味を持って見て頂きたい。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】棋士編入試験を受験する里見香奈の決断 プロ筋では「五分五分では」(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
男性棋士は基本、奨励会の三段リーグを抜け、四段になった者をプロ棋士と呼び、8つのタイトル戦やトーナメント棋戦に出場できる。
この奨励会からの四段に過去、大勢の女性が挑んだ(里見も)が、三段リーグを抜けた女性は一人もいない。https://t.co/yMXMJTdK5c— zakzak (@zakdesk) July 17, 2022
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