里見香奈
2022.6/11 15:00
現在、奨励会を経て、下から(6級)上がっていかなくても、プロ棋士になれる道が2つある。
1つはアマの全国大会(6棋戦)で優勝すれば、三段リーグの編入試験を受けられ、受かれば三段リーグに4期在籍できる。その間に上がれば、C級2組の四段として棋士になれるというもの。
もう1つは、男性棋戦にはアマや女流の出場枠があり、プロの公式戦で一定の成績(一例は10勝5敗)を残せば、直接棋士(フリークラス)になれる試験が受けられるというものだ。
前者は年間6人の該当者が出るのだが、三段リーグから棋士になるのはとても無理と思うのか、過去ほとんど希望者はいない。実際に入った人も、やはり抜けられずに終わっている。
後者のケースで棋士になったのが、今泉健司五段と折田翔吾四段。2人とも元奨励会員で、三段リーグの経験者だ。この制度のパイオニアが、瀬川晶司六段である。
今回この、プロ試験の資格を得たのが、里見香奈女流四冠だった。棋王戦予選決勝で、古森悠太五段に勝ち、公式戦の成績を10勝4敗としての獲得である。
同時に里見は女流棋士初の、男性棋戦における本戦入り棋士となった。
里見は女流棋士一本となってからは、特に男性棋戦の勝率が良く、以前にも後1勝で資格取得まで行ったが、残念ながら敗れている。
今回は初の取得だが、試験を受けるかどうかはまだ決めていないと言う。
一度は女流棋士に戻れなくても、奨励会から棋士を目指したいと思った里見である。当然、挑むだろうと期待する人は多い。
実際試験を受ければ、棋士になる確率は高いと私も思っている。今までの公式戦の勝率の高さがある上に、試験の相手にとっては公式戦でなく、「単なる仕事」だからだ。
しかし私は、今の里見の好調は、三段リーグをスッパリ諦めて、女流一本で生きると決めたことが、良い方向に進んでいるとも思っている。
三段リーグ当時は、精神的な重圧か、体調も悪く、リーグと女流棋戦の双方に出る精神的負担は大きかっただろう。
もし棋士となれば、順位戦とヒューリック杯白玲戦だけでも対局数はかなり増え、消化できない恐れもある。それがまた、重圧にもなり兼ねないのだ。
最後どうするかは、本人の決断よりない。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】棋士編入試験のハードルはメンタルか 女流棋士・里見のプロ試験資格取得(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
棋士編入試験のハードルはメンタルか 女流棋士・里見のプロ試験資格取得 https://t.co/H4YaUcrkeF
もし棋士となれば、順位戦とヒューリック杯白玲戦だけでも対局数はかなり増え、消化できない恐れもある。それがまた、重圧にもなり兼ねないのだ。最後どうするかは、本人の決断よりない。
— zakzak (@zakdesk) June 11, 2022
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