ほぉ・・・
2022.4/23 15:00
野球選手なども最後に出場する試合を、引退試合と呼ぶが、棋士にも最後の一局がある。引退試合で見事なホームランを打つなどという例は、巨人の原辰徳監督などごく一部を除いて、あまり記憶がない。公式戦だから、当然花を持たせる訳にはいかないが、本人も最後を意識すると、肩に力が入るせいかと思う。
前期(2021年度)までで引退となる人は、桐山清澄九段、小林健二九段、田中寅彦九段、小林宏七段の4人で、上から3人が年齢で、小林宏だけが自己宣言での引退だ。
棋士の引退は最後の1局を勝ち続ければ、引退が先送りになるだけに、最後にどんな将棋を指すのかは、遠くない将来、同じ運命を持つ私にとって、興味のあるところだった。
桐山は本欄でも何回か取り上げたが、この1局を負けると引退という一番を、2年連続ではね返してきた。その将棋はいかにも「いぶし銀」の異名通りの指し口で、いずれも完勝だった。
ただし今回は、竜王戦で4組に昇級できない時点で引退が決まり、4月下旬の対局が最後となる。
小林健の対局は、竜王戦6組の対神崎健二八段戦。フリークラス転出のため、この3月31日の誕生日で65歳となり、負けると定年で引退となる。
小林健は最後の対局に、中飛車を採用した。振り飛車党に転向した小林健の、最後に指したい将棋だったのだろう。将棋は小林健の中央からの動きを神崎が逆用し、中央から盛り上がりつつ手厚く攻めて、神崎の完勝。
小林健は弟子の育成にも熱心で、大勢の弟子がこの日控室で見守っていた。
小林健にすれば、勝って皆をガッカリさせようと思ったらしいが、残念ながら「先生、お疲れ様でした」の言葉を受けることとなった。
田中の最終局も、竜王戦の対田中悠一五段戦で、こちらは逆に田中悠の中飛車に対し、田中寅は相手の攻撃陣の真正面から突撃する、見たことのない仕掛けに出た。今回の将棋大賞の『升田幸三賞特別賞』を受賞した、田中寅らしい仕掛けだ。
一見無謀と思えるこの仕掛けはAIも支持し、たちまち優勢となったが、もう一歩厳しい踏み込みに欠け、田中悠の粘りを許した。終盤では、受けを放棄して攻め合いに出たのが致命傷となって田中寅は敗れたが『序盤のエジソン』らしさを見せた。
小林宏は将棋も人柄も真っ直ぐな男で、なぜ引退に踏み切ったかは本人しか分からないが、最後は上野裕和六段相手に、得意の角交換早繰銀の急戦を用いるなど、各人それぞれ持ち味を生かした将棋で、現役を終えた。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】棋士引退の4人、現役最後の対局 各人それぞれの〝持ち味〟を出した指し手(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】棋士引退の4人、現役最後の対局 各人それぞれの〝持ち味〟を出した指し手 https://t.co/e8Wqy7i4vA @zakdeskより
— zakzak (@zakdesk) April 23, 2022
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