名人戦
2022.4/16 15:00
2月の時点で、挑戦者が斎藤慎太郎八段に決まっていた名人戦七番勝負が、今月6・7日、東京・文京区『ホテル椿山荘東京』から始まった。
第1局が椿山荘から始まるのは、この10年以上恒例となっているが、一昨年はコロナの影響で開幕が遅れ、椿山荘は第4局に回っている。
タイトル戦では前日の夕方、対局の検分が行われる。盤駒に指しにくさはないかと、照明、そして空調などが点検される。
駒は奥野一香作の「名人駒」で年に一度、名人戦第1局のみに使用される。プロでもこの駒を使ったことがある棋士は、ほんの一握りだ。
続く前夜のセレモニーでは、主催の朝日・毎日両新聞社の社長と、将棋連盟・佐藤康光会長、そして協賛の大和証券グループ本社・執行役員の挨拶の後、我々立会人による、明日からの展望の時間になった。
メンバーは正立ち合いの私と、副立ち合いの高崎一生七段(毎日新聞解説)、佐々木勇気七段(朝日新聞解説)、そして記録係の田中大貴三段の4人。
居飛車の戦いになることは全員一致したが、シリーズは良い勝負のデッドヒートになるという大方の意見をよそに、私は「どちらが勝つにしても、案外一方的になるのでは」と予想した。
明けて1日目。大和証券・日比野隆司会長の振り駒で先手番となった渡辺は、矢倉戦に誘導。対して斎藤は角道を止めない、急戦の構えで対抗した。後手の指し方は数年前から指され始め、積極的に有利さを求める戦法だが、玉が囲えず、陣形が弱くなるリスクもある。
斎藤は角交換から自陣に攻防の角を放ち、抑え込もうとしたが、簡単に銀を追いに行った手が疑問手。引いてくれず、相手の駒を呼び込んで形勢を損ねた。まだ1日目のことである。
2日目は、渡辺が一方的に攻め、斎藤が受けるだけの展開となったが、粘り切れず、108手での投了となった。
私が一方的になりやすいと予想したのは、昨年と違って、斎藤が若さのパワーで押しきれば斎藤勝ち。また以前も書いたが、渡辺は藤井以外の棋士なら誰でも大丈夫という自信があるのか、実にのびのびと指して圧倒する将棋がこのところ多く、ツボにはまれば渡辺勝ち、と思えるからだ。
斎藤が勝つには、ここから一方的に若さの力を発揮し、歳の差を見せつけるしかないと思うのだ。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】挑戦者・斎藤八段勝利のカギは「若さ」 「名人戦七番勝負」開幕(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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— zakzak (@zakdesk) April 16, 2022
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ほぉ・・・
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