伊藤匠五段
2022.4/9 15:00
毎年年度が終わると、その年に活躍した棋士に対する大賞が決まる。
表彰は数字で決まる記録部門と、選考部門とに分かれるが、令和3年度は記録部門で異変が起きた。
まず最多対局と最多勝利は、それぞれ64局と52勝で、藤井聡太五冠がぶっちぎりの受賞。藤井にとって最多対局は2回目、最多勝利は4回目である。
昨年は永瀬拓矢王座が、最多対局と最多勝利(藤井と同時に)に輝いたが、今回はやや後退となった。
プロ野球の首位打者に当たる勝率第1位は、棋士になってからの4年間、藤井が逃したことはなかった。しかし今回は45勝10敗(0・818)の伊藤匠五段に、0・005差で譲ることになったのだった。
有望な若手なら、調子の良い年は7割に届くことがあるが、8割となると、調子が良いだけでは絶対に届かない。
本物の実力を持った棋士だけが届く世界で、ある若手棋士の「プロ同士で8割勝てたら、彼女は要らない」という気持ちはよくわかる。勝てるから将棋の研究が何よりも楽しくなり、研究するからまた勝てる、という、プラスの連鎖が起きるからだ。
連勝賞は渡辺和史五段の20連勝で、渡辺は今期順位戦でC級1組へ昇級している。
選考部門の最高の賞である「最優秀棋士賞」は、昨年に引き続いて藤井が受賞。最年少(19歳6カ月)で五冠となっただけに、対抗馬なしの受賞と想像できる。
優秀棋士賞は渡辺明名人で、8回目。以前は羽生、最近は藤井に頭を押さえられての次点の多さは、名人かつ棋王10連覇の渡辺にとって、あまり面白くないであろう。
その他、敢闘賞には銀河戦、朝日杯優勝の菅井竜也八段。新人賞は新人王戦優勝とC1昇級を果たし、前述の勝率第1位となった、伊藤が選ばれた。特に伊藤の勝ち方は、本欄で何回も出てきた通り、一気に一流棋士になる素質を感じさせるのだ。
また、新手を指した棋士に贈られる「升田幸三賞」には、角換わり3三金型早繰り銀を発明した、千田翔太七段が受賞。同時に今年引退する「序盤のエジソン」こと田中寅彦九段にも、棋士として特別賞が贈られた。
女流では「最優秀女流棋士賞」に、7年連続、12回目の里見香奈女流四冠。女流棋界では里見の他は、候補が西山朋佳女流二冠と、伊藤沙恵新女流名人の3人しかいないのが寂しいところである。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】令和3年度将棋大賞 新人・伊藤匠五段、一流の資質見せる(1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】令和3年度将棋大賞 新人・伊藤匠五段、一流の資質見せる https://t.co/13Atqz44ch @zakdeskより
— zakzak (@zakdesk) April 9, 2022
藤井聡太竜王は、5つのタイトル戦を防衛か奪取をして、この勝率だからね。
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