ラノベ作家・白鳥士郎氏、ファンの願いを“可視化”した話題のTwitter投稿の真意 A級陥落・羽生善治九段へ「ぜひ力を溜めて戻っていただきたい」

ラノベ作家・白鳥士郎氏、ファンの願いを“可視化”した話題のTwitter投稿の真意 A級陥落・羽生善治九段へ「ぜひ力を溜めて戻っていただきたい」 | ニュース | ABEMA TIMES

へぇ・・・


2022/03/24 12:00

3月4日の午前4時過ぎ、Twitterに投稿された1つのメッセージが、将棋ファンの間で瞬く間に拡散した。「これはラノベ作家の無責任な深夜の妄想なんだけど…」で始まる投稿は、その前日3日に順位戦A級の戦いを終え、名人9期を含めて29期連続で維持していたA級から陥落した羽生善治九段(51)に関するもの。新旧交代を象徴するように、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)はその6日後、順位戦B級1組の最終戦で勝利し、入れ替わるように初のA級入りを決めた。将来、藤井五冠が八冠制覇を果たす絶対王者になった時、それを切り崩すようにタイトル100期目指して挑戦してくる羽生九段。将棋界のレジェンドの復活劇を期待するファンの願いを凝縮したような白鳥氏の妄想は、本人も「ファンが望んでいることを可視化したいと思った」という意図からのものだった。

初のA級昇級で名人を獲得し、それから29年。ずっとA級棋士もしくは名人であった羽生九段が、ついにB級1組に落ちる。降級が決まった終局の瞬間から速報記事が大量に出た。2018年12月の竜王戦七番勝負で、タイトル100期を目前にしながら、竜王防衛に失敗、27年ぶりに無冠になった時も大きなニュースになったが、それから3年半ほどの時が経ち、トップ棋士であることを示す「A級棋士」という肩書を失うことにもなった。この事実に、白鳥氏もファンと同じような寂しさを感じつつも、冷静に受け止めることにも努めた。

白鳥氏 これを羽生先生の不調と見るのか、それとも世代交代と見るのか。羽生先生自身、タイトルを持たれていた時ですら、この調子がいつまでも続くわけではないとか、いつ無冠になるかわからないとか口にされていた。その危機感が顕在化する時が来たんでしょうね。年齢的に、どんな強い棋士でも波みたいなものがあると思います。戦法的な波もあるでしょう。その中で、力を溜めて戻ってくる期間もあると思います。渡辺明名人が1回A級から落ちて、竜王も失冠された後、また強くなって帰ってきたのが象徴的です。羽生世代はまだまだ元気で、B級2組にいた丸山忠久九段は順位戦でも昇級を決めましたし、勝率7割に迫る勢いです。B級1組の郷田先生も棋王戦で挑決に進みました。また、その郷田先生と棋王戦の準決勝で対局した佐藤康光会長は、ファンのあいだで「暴銀」と呼ばれた、とんでもない戦法を指すなど、AI全盛の時代に独自のスタイルでA級を維持しつつ、会長としても東西の将棋会館移転という将棋連盟の長年の懸案を解決する豪腕ぶりを発揮しています。確かに今期の羽生先生はA級からも陥落し、タイトル戦にも出場していませんから、衰えたと見る向きもあるかもしれません。ですが、たとえば王座一冠に後退した2004年度を見ても、羽生先生はすぐに復活して四冠になっています。羽生先生にも、力を溜めてぜひA級に戻ってきていただきたいです。

羽生九段自身も10代から活躍し、20代は年々タイトルを増やして、25歳で七冠を独占した。当時トップを走っていた棋士たちからしても、この天才棋士に感じる脅威は、今の藤井五冠と重なるところもあるだろう。自分がやってきたことだからこそ、同じような存在に、自分が頂点を明け渡すことがいつ来てもおかしくない。むしろそれが自然。勝ちながらも、ずっと抱いていた危機感が具現化されたのが、藤井五冠ということだったのだろう。

白鳥氏 今期、羽生先生は勝率4割を切る可能性があります。衝撃的な数字のように見えますが、詳細に見ていくと、理由がわかります。永瀬拓矢王座、豊島将之九段といった超トップクラスとの直近の対局で負け越しているのです。現在、藤井竜王、渡辺名人、永瀬王座、豊島九段が「4強」と呼ばれていますが、そのレベルとの戦いになると分が悪いということなのかもしれません。しかし、逆に言えば、そのレベルの相手と対局が続く位置にいるからこそ勝率が低下するとも言えます。

羽生九段は、ルール通りに進めば来期はB級1組で指し、A級復帰を目指すことになる。ただ、ここに別の選択肢があるから、ファンの心はざわついている。フリークラスへの転出だ。同世代で、羽生九段と同じく永世名人の有資格者である森内俊之九段(51)は、A級からの陥落を機に、順位戦から“引退”し、フリークラス入りを選んだ。もう名人を目指さないという宣言は、とても重い。ファンは本人の意志を尊重すると口は揃えつつ、やはり内心ではA級復帰、さらに名人再挑戦を望んでいる。その気持ちに寄り添い、代弁したのが白鳥氏のツイートだった。

白鳥氏 あれを出したのは、ファンが望んでいることを可視化しないといけないと思ったからなんですよ。私には羽生先生がどのような道を選ばれるかはわかりませんが、将棋ファンが何を望んでいるかはわかる。だからみんなが望んでいるというのを見ていただきたいと思いました。投稿のように、藤井先生が八冠を独占している中、羽生先生がA級に復帰して藤井名人に挑戦、奪取してタイトル100期なんて、羽生先生が起こしてこられた奇跡に比べれば、それほどの奇跡じゃないですよ。

白鳥氏によるライトノベル・漫画「りゅうおうのおしごと!」については、藤井竜王がデビュー以来の大活躍により「現実がラノベを超えた」と、度々話題になる。これと同じく、「ラノベ作家の妄想」を超えるほど、不世出のスター羽生九段は多くの名局、記録を生み出してきた。長いプロキャリアも、終盤に差し掛かっていることに間違いはないが、そこで前人未踏のタイトル100期を、令和の天才棋士から奪取して達成するというのも、シナリオの一部としては十分考えられるものでもある。

白鳥氏 羽生先生と藤井先生のタイトル戦での直接対決がないのは、やはり寂しいんですよ。一般の棋戦ではありましたけど、タイトル戦で見たいというのは、みんなの思い。十六世名人の中原誠先生も、羽生先生とタイトル戦をやりたかったと、ずっとおっしゃっていて、引退されてからも悔やんでおられる。棋士として最高の舞台で、最高の棋士が戦ってほしいと思いますね。

2021年度、羽生九段の年度勝率はプロ入り以来、初めて5割を切った。棋士人生としては間違いなく最も苦しいシーズンを送ったが、ファンはもっと妙手「羽生マジック」も、勝利を確信した「指の震え」も見たい。それが藤井竜王を相手にしたタイトル戦の盤上なら、もう言うことは何もない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

情報源:ラノベ作家・白鳥士郎氏、ファンの願いを“可視化”した話題のTwitter投稿の真意 A級陥落・羽生善治九段へ「ぜひ力を溜めて戻っていただきたい」 | ニュース | ABEMA TIMES



 

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