竜王戦第2局も制した藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】

藤井3冠が強さ見せつけた竜王戦第2局 序盤に恐ろしい誘い水が…! 真田圭一八段解説 | ENCOUNT

真田圭一八段


2021.10.23

豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第2局が22、23日、世界遺産「総本山仁和寺」(京都市)で行われ、後手の藤井3冠が70手で勝利。1日目から優勢を保ち、恐ろしいほどの力強さを見せつけた。竜王戦第2局を振り返る。

竜王戦第2局も制した藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】
竜王戦第2局も制した藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】

序盤に早くも山場が訪れていた

豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第2局が22、23日、世界遺産「総本山仁和寺」(京都市)で行われ、後手の藤井3冠が70手で勝利。1日目から優勢を保ち、恐ろしいほどの力強さを見せつけた。竜王戦第2局を振り返る。

藤井3冠の先勝で迎えた第2局。豊島竜王としては勝って星を五分に戻したい一戦で、私の視点では、7番勝負を占う重要な一戦と位置づけている。

理由は、出だしの2局で先手と後手での戦い方がある程度見えてくるので、シリーズ全体の見通しが立ってくるということ。この、長い番勝負での基本に加えて、特に弱点らしい弱点のない藤井3冠と戦う上においては、有効な藤井対策が見いだせているのかという点がはっきりするのも出だしの2局だからだ。

第1局は藤井勝ちとはいえ、内容的には難解な展開が続いた。第2局は豊島竜王が主導権を握りやすい先手番でもあり、藤井対策の精度に注目していた。

さて、戦型はこの2人の定番となりつつある相掛かり。そしてこれまでの対藤井戦における指し方同様、豊島竜王は序盤から積極的に動いていく。

19手目▲6六角から、小刻みに角を動かしていった。その後、早くも山場が訪れる。右銀を素早く前線に繰り出した藤井3冠が、30手目△7一金と自陣に手を入れた局面だ。この手は基本、決戦に備えた一手で、桂にヒモをつけつつ飛車交換にも強い形となっている。

だが、前線に繰り出した銀が中途半端なままでもあり、ある意味「突っ張った手」ということもできる。豊島竜王からすれば、中途半端な△6五銀にお引き取り願うのであれば、▲8六歩~▲8七銀と手厚く指せば長い中盤戦になったと思われ、この展開も有力だったと思う。

だが、△7一金には誘い水となる要素が含まれていた。本譜の進行で、以下▲7五歩△7四歩と進んだ局面がそれだ。▲7五歩は△6五銀を生きて帰しませんよという強い手で、対する△7四歩もそうはさせじという突っ張った手だ。

問題はこの局面が、▲8六飛と回れば確実に竜ができることを両者が分かっていて進行した点だ。次に▲8三飛成があるが、それを防ぐ△8二歩には▲6六歩で銀が捕まってしまうため、竜作りを防ぐことはできない。

序盤のかなり早い段階で、歩損、歩切れとはいえ竜ができるのであれば、プロの将棋であればそうそう悪くなることはない。それが誰しも思うことであり、豊島竜王もだからこそ▲7五歩と突っ張った。

1日目でほぼ決着がついていた…

ところが、平然と△7四歩と竜を作ってみろと言われると、よく読んでみると竜を作っても先手良しとは言えない。そのことに豊島竜王は気付いた。つまり▲7五歩はいい手ではなかったのだ。だが、同じ失敗を認めるなら竜を作って耐える順も有力だったと思う。

実戦は▲9五歩とアヤを求めたが、かえって傷口を広げることになってしまった。42手目△9七歩と打たれた局面は、完全に端攻めを逆用されてしまった。ここまでが1日目の展開。残念ながらこの段階で、相手が藤井3冠ということを考えるとほぼノーチャンスになってしまっていた。

迎えて2日目、リードしてからの藤井3冠の指し口には参考にすべき点がある。いつでも行ける△7七歩成をギリギリまで決行しなかった。優勢を意識しながらも、流れやなんとなくで指さず、持ち時間もふんだんに使い、しっかり読みを入れて間違いなく勝てる順を選んでいる。

将棋はもちろん優勢になるに越したことはないが、リードした側にも特殊な落とし穴がある。リードしているが故、有力な指し手が多く目につく。踏み込んで良し、安全勝ちを目指して良し。だが選択肢が増える分、一つ一つの変化に対する読みの精度が薄まって、逆転の罠を見抜けず転んでしまうことがある。

藤井3冠は若いが、その辺りの勝負の怖さを熟知しているかのように、優勢になってからも浮わついた感じは一切ない。これもプロになってから変わらない藤井3冠の強さの一つだ。

藤井快勝で、これで7番勝負は藤井3冠の2連勝。正直、今の藤井3冠相手に星の差2つはきつい。だが、とにかく豊島竜王が集中すべきは、藤井将棋に対する有効な対策を見つけることだ。互角以上に戦える手応えを得られれば、一気に流れを変えることも可能だ。

ここ数か月で誰よりも藤井3冠と対戦している豊島竜王は、誰よりも藤井将棋の本質に触れているとも言える。高い高いハードルだろうが、最高棋戦のタイトルホルダーとしての意地を見せてほしいと思う。

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対戦成績


投了までの10分

https://www.youtube.com/watch?v=pY5aqr5XK5c&hd=1

初手からの解説

https://www.youtube.com/watch?v=-PPxtTgWuVg&hd=1


60手目「△9九成桂」の盤面~EDまで

1:32:40 70手目「△3五銀打」まで
1:35:25 投了
1:37:37 終局後のインタビュー
1:51:15 感想戦
2:10:50 勝利者インタビュー


豊島将之竜王-△藤井聡太三冠(棋譜中継棋譜DB

70手 3五銀打まで

△藤井聡二冠 の勝ち


 


  

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連勝、奪取まであと2勝。


  

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