棋王戦は残念ながら敗退
2021.9.18
7月から始まった「お~いお茶杯王位戦」と「叡王戦」における、豊島将之叡王-藤井聡太王位の12番勝負が13日、叡王戦の第5局をもって終わった。
結果は王位戦では、4勝1敗で藤井の防衛。叡王戦は3勝2敗で藤井が奪取と、結局7勝3敗でタイトルを2つとも得た、藤井の圧勝となった。
この2人の対局を見ると、同じ居飛車の正統派なのにまったく読みが合っていない、という気がする。中には五分五分の形勢で終盤戦になり、際どい将棋もあったが、途中から大差になり、終盤の感想戦はなし、という将棋が多かった。第一人者同士の対局では、珍しいことである。
それでも対局を重ねるごとに、対戦成績では勝ち越しているはずの豊島が、精神的に追い詰められていくのが見て取れた。
叡王戦最終局は居飛車相掛かり戦から、豊島の銀が2枚とも前線に出て攻めの態勢を取るという、珍しい展開になった。藤井はその攻めを見事にかわして2枚の銀を無能化させ、薄くなった豊島陣に一気に迫って勝利を得た。
藤井が詰将棋を解く速さの計算力だけでなく、攻守ともにバランスの良い、王者の将棋を見せつけたのだった。
これは他の棋士にも、藤井に番勝負で勝つのは容易でない、ということを植え付けたようなもので、以前の王者だった中原誠16世名人、羽生善治九段の若い時と通じるものがある。
私はこの第5局の感想戦を少し観戦したが、豊島の肩が落ちていたことと、感想戦での藤井の指し手が余りにも早いのが印象に残った。
すべて読んでいた訳ではないかと思うが、相手が「こんな手はどうでしたか」と指すと、間髪入れずに答えを出すのだ。こういう棋士は、初めて見た気がした。それだけ一瞬で、手が見えるのだろう。
叡王獲得で、藤井は19歳1カ月で三冠という、三冠の最年少記録(羽生が持っていた)を3年以上早く更新してしまった。
藤井にすれば、まだ対戦成績は1勝負け越しとは言え、豊島に対する苦手意識は完全に払拭したはず。逆に10月から始まる竜王戦の挑戦者が藤井に決まったことで、豊島がどんな作戦を用意するか、また精神状態は立て直せるかなど、興味深い戦いはまだ続く。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】3年以上早く更新、藤井の最年少三冠記録 豊島への苦手意識払拭で見えてきた四冠 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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— zakzak (@zakdesk) September 18, 2021
ほぉ・・・
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