木村一基九段
2021.9.11
色紙に揮毫(きごう)を依頼されて「晩成」と書く棋士が2人いる。郷田真隆九段と木村一基九段である。
郷田は羽生世代の中では、四段が19歳、A級入りも29歳と遅く、タイトル挑戦は何度も退けられてきたから、本人としてはそういう心境なのだろう。
しかし王位の初タイトルは21歳で、四段での獲得は棋界初だったから、他の棋士から見ればかなり早熟で、謙遜ではないかとも思える。
その点木村は、三段リーグに13期(6年半)在籍し、四段昇段は年齢制限が見えてくる23歳だった。
四段になっても順位戦の昇級には苦労し、A級入りは34歳の時。
タイトル戦においても2005年度の竜王戦初挑戦以来、6度挑戦するもことごとく跳ね返された。
しかもその間には、王位戦で深浦康市王位(当時)相手に、3連勝から4連敗という負け方を喫するに及んで、もうタイトルは無理かと思わせた。
しかし一昨年の王位戦において、当時の豊島将之王位を4勝3敗で破り、タイトル奪取と同時に、初タイトルの最年長記録(それまでは37歳)を46歳と、大幅に更新したのだった。
タイトル奪取は通常、若いうちに取れない棋士は、年を取ると余計に不可能となる。若いというのは20代か、せいぜい35歳位までであろう。
その意味で木村は『晩成』と呼ぶにふさわしい棋士かと思う。それでも30代から何度もタイトル戦に出場し、勝率も7割の時代が長く続いたから、弱かった棋士が年を取って急に強くなった訳ではない。ただ結果が出なかったというだけである。
この木村が今期、王座戦の挑戦者決定戦で佐藤康光九段を破り、挑戦者に名乗り出た。挑戦の相手は永瀬拓矢王座。
木村より19歳年下の若き実力者にこの歳で挑戦できるのも、長年羽生世代に頭を押さえつけられてきたことで、やっと自分の時代が来たと思えるせいか。
私が常に言う、いつまでも強くなりたいという純粋な気持ちを、持ち続けることができるからだと思う。
王座戦の第1局は、双方が得意とする角交換腰掛銀から、午前中に詰みまで読むような、激しい戦いに。
最後は二転三転する終盤戦を木村が制した。このまま再度、木村がタイトルを手にすることができるのか、見ものである。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】王座に挑む晩成の棋士・木村一基九段 19歳年下の実力者相手に「やっと自分の時代」 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】王座に挑む晩成の棋士・木村一基九段 19歳年下の実力者相手に「やっと自分の時代」 https://t.co/wwzd5gcajA
— zakzak (@zakdesk) September 11, 2021
シリーズ成績
▲木村一基九段-△永瀬拓矢王座(棋譜中継)
先後は入れ替わり、木村一基九段の先手
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