井田明宏現四段
2021年8月1
藤井聡太(19)は2020年8月4、5の両日、神戸市北区での第61期王位戦七番勝負第3局で木村一基(かずき)(48)と対戦した。藤井の肩書は、第1、2局は「七段」だったが、第3局から7月16日に奪取した「棋聖」に。「王位」を保持する木村との対局はタイトルホルダー同士の激突となった。藤井は第3局でも勝ち、開幕3連勝。二冠まで、あと1勝と迫った。
この将棋の記録係を務めたのが、棋士養成機関「奨励会」で最上位の三段まで昇っていた井田明宏(24)だ。藤井が棋聖を奪取した第91期棋聖戦五番勝負第4局の記録係も井田だった。
京都市出身の井田が関西奨励会(大阪市)に入ったのは10年9月。その2年後に藤井が入会し、猛スピードで昇級を重ねた。奨励会での対戦成績は井田4勝、藤井5勝。最初の対局は4級の井田が6級の藤井に香車を落とすハンディ戦だったが、最後の方では逆に、二段の藤井が初段の井田に香車を落とした対局もあったという。
16年10月1日付で藤井が棋士と認められる四段に昇り、2人の立場は大きく変わった。対局者のためにお茶を入れる記録係と、記録係が入れたお茶を飲む対局者の関係だ。
追い抜かれた井田は「自分にとって必要なことをしていくしかない」。藤井のタイトル戦の記録係は「なによりの勉強」で、先輩だったプライドは気にするべきではないと判断した。
当時、井田は奨励会三段リーグで好成績を続けていて、自分でも「そのうち四段に昇れる」と感じていた。だが、記録係として藤井の強さに接し、「『そのうち』ではなく、『いま』プロにならないと、一生近づけない」という恐れを感じたという。
この思いを原動力に井田は21年4月1日付で四段に昇り、棋士になった。「すごい人に置いていかれたくないと思えたことが、一番、自分の伸びにつながった」。そう井田は振り返る。=敬称略(佐藤圭司)
◆次回は22日に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)戴冠編:11 「置いていかれたくない」記録係の先輩が奮起:朝日新聞デジタル
あ
ほぉ・・・
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