順位戦は現在こそ朝日と毎日の2社体制だけど、毎日のみ、朝日のみの時代もあったんだよな。
2021.5.16
今年の順位戦が、今週から無事開幕した。対局日は基本、B1とC2が木曜日、B2は水曜日、C1が火曜日で、B2からのスタートである。
今年はどの棋戦も、日程変更なしで進んでいる。
ただ一つ例年と違うのは、五輪の日程を睨んで、順位戦は8月の対局をなしにして、開幕がひと月早くなったことだ。
実際、五輪が開催されるかどうかはわからない。開催に反対派と推進派がいるようだが、私見ではとてもできる状況とは思えない。ただしアスリートにとっては、子供の頃からの夢が消えてしまうのは、やりきれないであろう。
実は将棋界にも、棋戦が中止になったことがある。昭和51年度(1976)の順位戦だ。
その前から名人戦の主催を巡って、朝日新聞社と毎日新聞社で引き合いがあり、結論は将棋連盟の総会で決めることとなった。
私自身は前年、C2(昇級リーグ4組)からC1(同3組)に昇級したばかりであり、中止になったら上がるのが1年遅くなると思って焦った。そういう若手に対して、朝日派の棋士が「主催が変わらなければ(朝日のままなら)順位戦は開催できる」と運動をしていたが、投票の結果毎日に移り、一年中止となった。
そんな経験をした現役棋士は、私と桐山清澄九段だけになってしまったが、四段になった瞬間、一年待たされた棋士はいたかと思う。
もっとも再開した昇降級リーグ3組では、淡路仁茂五段と故・真部一男五段(共に当時)が9勝1敗で昇級したから、8勝2敗の私は1年遅くなった訳でなく、諦めもついたのだが。
そういうことで、私はC1に2期、3年いたのだった。将棋界は1年で済んだが、五輪の選手は4年待ったら、代表にもなれない人が多くいるかと思う。
さりとて、どんな状態でも開催してくれと言えない現状で、ないかもしれない競技のための練習は、本当に辛いであろう。
ともかく一時でも早く結論を出してあげたら、と思うのだ。
太平洋戦争の末期、戦争の終結を言い出せなかった軍部になぞらえた人がいたが、私にはチームで一人数手ずつ指すリレー将棋で、絶望的な局面でも自分が指す時は延命手を指し、他人に投了させる人に似ていると思えるのだが。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】ひと月早い順位戦開幕 リレー将棋の“延命手”に似た五輪絶望の状況 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
【勝負師たちの系譜】ひと月早い順位戦開幕 リレー将棋の“延命手”に似た五輪絶望の状況 https://t.co/Y8QvndwBbB
— zakzak (@zakdesk) May 16, 2021
ほぉ・・・
|
|
|
|
|
|
★