将棋界の格付け

将棋プロへの険しい道 奨励会三段リーグがアツイ! – 社会 : 日刊スポーツ

2021年2月5日の発表で緩和された


2021年2月28日11時13分

将棋界の格付け
将棋界の格付け

<深掘りトレンド>

将棋のプロ棋士養成機関「奨励会」の第68回三段リーグが3月6日、最終局を迎える。在籍36人中、2人しかプロ(四段)になれない狭き門。昨年度は西山朋佳三段(25)が14勝4敗ながら、同星の2人よりも順位(大相撲の番付のようなもの)が下のため正式採用に至らず、次点に泣くというドラマもあった。棋士になるには誰もが通らなければならない、半年に1度、定員2人の「プロ採用試験」。その先に名人への道が開けるのだ。【赤塚辰浩】

「将来は名人」。奨励会員は、小学生の頃から全国大会で活躍して、こう呼ばれてきた。自らも将棋界で頂点に立つことを夢見てきた。しかし、プロになるために最後の壁として立ちはだかるのが、三段リーグなのだ。

羽生善治九段(50)や谷川浩司九段(58)の時代は三段昇段後、規定の連勝数や勝敗数を満たせば、四段になれた。しかし「それでは1年に何人ものプロが誕生し、パイの取り合いが激しくなる」との声が出た。半年に2人採用と決められた現行制度は、1987年(昭62)度から始まった。

奨励会三段リーグ昇段者
奨励会三段リーグ昇段者

史上最年少プロ、藤井聡太王位・棋聖(18)は16年9月、在籍1期目に13勝5敗で三段リーグを抜けた。幸運な方だ。中には26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなければ退会という「年齢制限」で夢破れ、去った者もいる。スポーツの世界同様、1つの勝ち星、たった一手がプロ棋士になれるかどうかの明暗を分ける。

96年3月、中座真七段(51)が年齢制限ギリギリで四段になった。最終局に敗れたが、昇段争いをしていた木村一基九段(47)や野月浩貴八段(47)ら3人がそろって敗れ、12勝6敗で昇段した。05年9月には、年齢制限まであと1回だった遠山雄亮(ゆうすけ)六段(41)が昇段を決め、その瞬間に号泣した。

プロ入りを果たし号泣する遠山雄亮現六段。右から2人目は当時の奨励会幹事の中座真現七段、右は同中川大輔現八段(05年9月撮影)
プロ入りを果たし号泣する遠山雄亮現六段。右から2人目は当時の奨励会幹事の中座真現七段、右は同中川大輔現八段(05年9月撮影)

逆に昨年度の西山の場合、同じ14勝4敗でも順位2位の服部慎一郎(21)、同4位の谷合廣紀(27)が昇段した。西山は順位21位と下にいたため、採用見送りとなった。「番付1枚で天国と地獄」と呼ばれる大相撲の世界に似て、三段リーグでも、プロ棋士(四段)になっても、順位が出世を左右するのだ。

将棋界の8大タイトル序列は、最高賞金4400万円とトップで「実」の部分を重視した竜王以下、名人、王位、王座、棋王、叡王、王将、棋聖と続く。一方で、名人を頂点にA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と5クラスあるピラミッド型の「順位戦」での格付けもある。在籍クラスが基本給に直結する。同時に、どんなに長い年月をかけても伝統と格式のある名人のタイトルを得ようと、誰もがもがく。

四段になれば等しく、C級2組の最下級の順位から始まる。1年1期のリーグを戦い、規定の成績上位者が1クラス昇級(もちろん反対もある)する。

藤井2冠は17年度C2からC1に昇級したが、18年度には9勝1敗でも足踏みした。同星で順位6位の近藤誠也七段(24)、同7位で藤井の師匠杉本昌隆八段(52)がB2に昇級。同31位と下位の藤井は、近藤に9回戦で敗れたのが尾を引いて昇級できなかった。あの藤井2冠でも、そんな経験があったのだ。

悔しさを受け入れ、気持ちを切り替える。こんな例を毎年繰り返し、年齢も過去の栄光も関係なく白黒だけが物を言う厳しいタテ社会で、棋士たちはしのぎを削る。

第1回三段リーグを突破し、03~07年まで奨励会幹事を務めた中川大輔八段(52)がある年、新四段にかけた言葉は将棋界の縮図そのものだった。

「おめでとう。今から君たちは我々の仲間であり後輩だ。先輩を代表してお祝いする。今日は思い切り喜べ。その代わり、君たちは俺たちのライバルになったということも忘れるな」。

◇  ◇  ◇

■第68回は6人の争い

第68回三段リーグの状況
第68回三段リーグの状況

第68回三段リーグは3月6日の最終2局を残し、昇段争いは10勝6敗の狩山まで6人に絞られた。12勝4敗の上位2人も連敗すれば、ほかの在籍者の勝ち負けによって厳しくなる。同じ10勝6敗でも川村は順位24位と下のため、連勝して、上位で「内定辞退」が出ないと四段になれない。これが現実だ。

女性初の四段になれるか注目される西山は、現在8勝8敗。今年6月に26歳となるため、勝ち越せなければ次回(4~9月)が最後のリーグとなる。

■次点2回でフリークラス四段に

三段リーグで次点を2回取った場合、フリークラス四段になれる制度もある。同クラスの棋士は、順位戦には参加できないが、ほかの公式戦には出場可能。勝率など一定条件を満たせばC級2組に編入できる。

これでプロになった第1号は第22回(97年度後期)の伊奈祐介。以下、第40回の伊藤真吾、第43回の渡辺正和、第51回の渡辺大夢、第58回の佐々木大地、前回第67回の古賀悠聖がいる。古賀を除く5人は規定の勝率を挙げC2に編入した。

前回の三段リーグを突破した右から冨田誠也四段、伊藤匠四段と、次点2回でフリークラスからスタートの古賀悠聖四段
前回の三段リーグを突破した右から冨田誠也四段、伊藤匠四段と、次点2回でフリークラスからスタートの古賀悠聖四段

名人3期の佐藤天彦は三段リーグ在籍時、2回次点を獲得。フリークラス入りの権利を得たが「あくまで順位戦を勝ち上がって名人になる」と、蹴った。リーグは第39回に突破。A級に昇級して16年に羽生から名人を奪うと、2年連続で防衛した。

三段リーグを突破して新四段の調査書を書き込む佐藤天彦現九段(06年9月撮影)
三段リーグを突破して新四段の調査書を書き込む佐藤天彦現九段(06年9月撮影)

また、日本将棋連盟は先月5日、奨励会三段の次点に関する規制を緩和した。竜王戦のランキング戦(予選)優勝、王位戦の挑決リーグ入り、朝日杯やNHK杯本戦ベスト4、新人王戦優勝などの規定を満たせば、次点1回となる。公式棋戦で成績上位の三段の参加を認めているためだ。次点2回でフリークラスに編入するための1回は三段リーグで、という条件が付く。

情報源:将棋プロへの険しい道 奨励会三段リーグがアツイ!(日刊スポーツ) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:将棋プロへの険しい道 奨励会三段リーグがアツイ! – 社会 : 日刊スポーツ




西山さんは、まずは竜王戦6組であと3勝して優勝を目指してほしい。次戦は小山怜央アマ


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