取材に答える渡辺明名人=18日、東京都渋谷区

「間違える恐怖」と戦った最終局 将棋・渡辺明名人、七番勝負を振り返る:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2020年8月31日 16時30分

取材に答える渡辺明名人=18日、東京都渋谷区
取材に答える渡辺明名人=18日、東京都渋谷区

第78期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)は、挑戦者だった渡辺明名人(36)=棋王・王将とあわせ三冠=が、前名人の豊島将之竜王(30)を4勝2敗で破った。2000年のプロデビューから初の名人挑戦でタイトルを奪取したシリーズを、渡辺名人に振り返ってもらった。

■苦しかった第3局

――第1局は後手番角換わりで勝利。第2局は相懸かりの激しい将棋で、劣勢から追い上げましたが、敗れました。1勝1敗で第3局を迎えました。

矢倉風の力戦将棋になりましたが、序盤が軽率でした。仕掛けを与えて、2日制の将棋としては苦しくなるのが早すぎました。その後は終盤までずっと苦しかった。相手が簡単な手を逃したので、逆転直前まで行きましたが、踏みとどまられましたね。ただ中終盤は負けをはっきり読み切れていたので、そこは好材料だとは思いました。

■強気奏功の第4局

――第4局は先手番で矢倉脇システムでした。

互いに玉が入城する定跡形は相手も用意してきているので、1筋の位をとって通常の形からちょっと外すのが作戦でした。先手ペースだと思っていましたが、そうでもなかった。

図1・△7七銀まで
図1・△7七銀まで

終盤で△7七銀(82手目、図1)に▲7七同桂の方が正しいと思いますが、▲7七同金で強く勝負にいったのが、結果的に功を奏しました。微妙なあやがある場面でした。

■流れ好転の第5局

――第5局は力戦型。序盤で△4二飛(22手目)と回りました。

図2・△7三玉まで
図2・△7三玉まで

前々から考えていた形。ただ、封じ手あたりはきついなと思っていました。▲8二飛に6二の玉を△7三玉(94手目、図2)として流れが傾きました。竜を攻めていればいい展開になり、分かりやすくなった。1日目から苦しかったので、こういう将棋を勝てるのは大きい。七番勝負で決定打になってもおかしくない勝ち方でした。

■勝機捉えた第6局

第6局終局後、感想戦で対局を振り返る渡辺明名人(左)=15日午後6時、大阪市福島区、角野貴之撮影
第6局終局後、感想戦で対局を振り返る渡辺明名人(左)=15日午後6時、大阪市福島区、角野貴之撮影

――第6局は先手が矢倉で後手は急戦矢倉でした。

8四歩型が珍しく、マークしていなかった。序盤で主導権を握られ、一本とられた感じでしたが、封じ手の後に気づいた▲5三歩(73手目)がいいタイミングで、後手が攻めてきたらピッタリではないかと思いました。

――勝利が近づいて、どんな気持ちでしたか。

2日目の午前中から優勢を意識し始めました。でも逆に困ってきた。勝ちの変化しかなく、もし間違えたら「時間があるのになに間違えてんの」となる。普段だったら同じ変化はそんなに読まないけど、何度も確認しました。すっぽ抜けたら一生後悔する。そういう恐怖と戦っていた。

■是が非でも、1期で終われぬ

――改めて名人を獲得しての気持ちを。

キャリアを積み重ねてきて、名人戦には縁がないと思っていました。1回でも名人になれたという事実は自分としては大きい。ただ例年よりも在位期間が2カ月ぐらい減って、余韻に浸っている間がない。是が非でも1期では終われない。1月からは王将戦なので、楽しんでいる場合じゃないなと思っています。(村上耕司)

情報源:「間違える恐怖」と戦った最終局 将棋・渡辺明名人、七番勝負を振り返る:朝日新聞デジタル




へぇ・・・